一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会 学生部

「CSRとマーケティング」講座 第2回

-法政大学大学院「CSRとマーケティング」講座 第2回-

 

2018年6月~7月、法政大学大学院の「CSRとマーケティング」講座(毎週月曜 18 :35~22:00、担当 : 担当:茂木 信太郎先生、法政大学非常勤講師/ ソーシャルプロダクツ普及推進協会副会長/亜細大学経営学部教授)では、ソーシャルプロダクツ・アワード(SPA)の受賞者をゲスト講師に招いて、受賞商品の開発経緯やマーケティング上の工夫、市場の反響や課題などについての話を聞く機会を設けました。本特集では、その内容について簡単にご紹介していきます。※講座についての詳細:https://goo.gl/1ZxbvF

 

第2回は、ヤシノミ洗剤で有名な「サラヤ」様と、生活を豊かにする様々な製品を開発する「SYRINX」様に、具体的な取り組みをお話し頂きました。

 

タイトル:いのちをつなぐ SARAYA

 講演者  :サラヤ株式会社 取締役 代島 裕世

受賞商品:Happy Elephant 洗たくパウダーSPA2013 大賞)

 

サラヤは、衛生・環境・健康に関わる製品・サービスを展開する企業です。同社が、環境保全に積極的に取り組むようになったキッカケは、2004年に放映されたとある環境ドキュメンタリー番組でした。同番組では、洗剤の原料であるパーム油を調達するために熱帯雨林が伐採され、生態系が脅かされていることが映し出されました。当時、その反響としてサラヤの主力製品であるヤシノミ洗剤にも批判が集まります。自分たちの目で惨状を知るべく東南アジアまで足を運び、オランウータンやゾウたちの住処が追われていることを目の当たりにしました。そこで、サラヤは2005年に日本で初めてRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)に加盟し、2012年には環境ブランド「Happy Elephant」を開発しました。

 

同社は、環境に悪影響を及ぼさない形で調達されたパーム油を用いるだけではありません。原産地の生物多様性をより積極的に保全するため、外部機関の協力なども得ながら、NGO「ボルネオ保全トラスト」も立ち上げました。ヤシノミ洗剤や「Happy Elephant」の売上の1%は、同NGOに寄付され、現地のオラウータンやゾウたちを守るための様々な活動に役立てられています。この取り組みは、環境意識の高いお客様からの支持にもつながっています。SNS時代では、ソーシャルな取り組みを発信する意味は大きいのです。

 

 

タイトル:SYRINX

 講演者  :佐藤宏尚建築デザイン事務所 代表取締役(SYRINX 代表) 佐藤 宏尚氏

受賞商品:LOG more trees LEATHER SpeakerSPA2018 特別賞「デザイン」)

 

SYRINXは、建築事業で培ったデザイン力を活かしてオーディオ機器や革製品などを中心に、生活を豊かにする様々な製品を開発しています。建築におけるデザインとは、課題を解決することに本質があります。ユニークでありながら、機能性が高くシンプルな商品を目指すということです。「LOG -more trees LEATHER Speaker-」は、「空間と音の調和」がコンセプトのスピーカーで、空間に澄み渡る音を奏でます。日常生活におけるBGMに最適です。通常、スピーカーで澄んだ音を奏でるためには、共振によるノイズを外に漏らさないようにするため、鉄などの固い材質で音を閉じ込めます。しかし、同商品は、逆にやわらかい材質である革を素材に採用することで、そもそもノイズを発生させません。単なる商品のデザイン性もさることながら、課題解決という意味でのデザイン力も活かされているのです。

 

SYRINXは、スピーカーに使用する革素材として、エゾ鹿の革を採用しています。エゾ鹿は、北海道において増殖しすぎて生態系を崩していることから社会問題化しています。毎年10万トンも捕獲されていますが、特にその革は用途に乏しく、廃棄されていることに目を付けました。SYRINXでは、本業と社会貢献のベクトルは同じ方向を向くべきであると考えています。社会問題化するエゾ鹿の革を、自社技術を活かして日常生活を彩るスピーカーに仕上げることで、社会貢献とビジネスを両立させたことに「LOG -more trees LEATHER Speaker-」の意義があると思われます。利益を追求する行動自体が、社会貢献であることが理想なのです。

 

(文責 ソーシャルプロダクツ普及推進協会 学生部代表 樋口晃太)