一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会 学生部

「CSRとマーケティング」講座 第5回

-法政大学大学院「CSRとマーケティング」講座 第5回-

株式会社トライフ 手島 大輔 ロアジスジャパン株式会社 岡田 雅子

 

今年の6月~7月、法政大学大学院の「CSRとマーケティング」講座(毎週月曜 18 :35~22:00 担当:茂木 信太郎先生、法政大学非常勤講師/ソーシャルプロダクツ普及推進協会副会長/亜細大学経営学部教授)では、ソーシャルプロダクツ・アワード(SPA)の受賞者をゲスト講師に招いて、受賞商品の開発経緯やマーケティング上の工夫、市場の反響や課題などについての話を聞く機会を設けました。本特集では、その内容について簡単にご紹介していきます。

※講座についての詳細:https://goo.gl/1ZxbvF

 

第5回は、オーガニック口腔ケア製品メーカーの「トライフ(オーラルピース)」様と、オーガニックペットフードメーカーの「ロアジスジャパン」様に、具体的な取り組みをお話し頂きました。

 

【タイトル】革新的な口腔ケア製品で世界の健康長寿の伸延と障がい者の仕事創出 「オーラルピース」事業

講演者 】株式会社トライフ 代表取締役 手島 大輔

【受賞商品】オーラルピース:SPA2015 生活者審査員賞

 

トライフは、オーガニック口腔ケア製品(歯磨きジェル、マウスウォッシュ)「オーラルピース」※写真を展開するバイオベンチャー企業です。同製品は、産学連携で開発した乳酸菌バイオテクノロジーと、天然由来の食品原料によって、高い殺菌性と安全性(誤って飲み込んでしまっても問題ありません)を実現しました。昨今、高齢化社会の進行に伴い、抗生物質や合成殺菌剤を含む口腔ケア製品の誤飲が社会問題化しています。「オーラルピース」は、そのような社会問題の解決

に貢献しています。

 

「オーラルピース」は、障がい者の仕事の創出・充実にも取り組んでいます。具体的には、全国各地の障がい者福祉施設に、販売代理店業務を委託しています。障がい者の低工賃も社会問題化していますが(障がい者のための就労継続支援A型事業所の平均工賃は時給700円台)、弊社では製品1本の販売につき報酬200-350円を約束しています。販売業務は収入増のみならず、地域とのつながりを実感すること(仕事のやりがい)にもつながっているそうです。この仕組みは、ムハマド・ユヌス氏が提唱する「ソーシャル・ビジネス」の事例として取り上げられている、メーカーが途上国の女性に現地での販売業務を委託するビジネスモデルからヒントを得ました。「オーラルピース」は「国内版のソーシャル・ビジネス」とも言えるかもしれません。

 

「オーラルピース」には、(社外の)研究者や医療従事者といったプロボノ(専門的な知識やスキルなどを活かした社会貢献活動)支援者が沢山います。沢山の方々に協力してもらえるのは、弊社が社会的な目的(健康長寿の伸延、障がい者の仕事創出など)のためにビジネスを展開していることに、共感して頂いているからだと思います。社会的な活動を継続していく上で、骨太のビジネスを産み出し、それを通して多様なパートナーと社会問題を解決していくという発想は、とても大切です。

 

【タイトル】ロアジス ともに生きるしあわせを

講演者 】ロアジスジャパン株式会社 代表取締役 岡田 雅子

【受賞商品】ヒマラヤチーズスティック:SPA2017 奨励賞

 

ロアジスジャパンは、国内のペットフード業界において、オーガニック商品の市場を切り拓いたパイオニア企業です。主力商品の「ヒマラヤチーズスティック」※写真は、愛犬の健康を考えた日本で初めてのオーガニックチーズガムです。原料には、ネパールの高地で放牧されているヤク(牛の仲間)と牛の乳を使用しており、塩分・油分を極力抑えているため、高タンパク質で低脂肪な犬用おやつとなっています。

 

同商品は、愛犬への配慮のみならず、ネパールの生産地にもさまざまな形で貢献しています。(現地の生活基盤の改善や震災復興のような形もありますが)それらは、基本的にビジネスを通しての支援です。例えば、品質の高い商品を生産するための技術的な指導や、適正な価格で継続的に仕入れることを約束するといった支援です。他にも、現地の子供たちを人身売買から守るためのシェルターを建設し、職業訓練も含む教育を提供するといった取り組みも展開しています。単なる金銭的な寄付よりも、このような自立を促す形での支援の方が、生産地にとっても弊社にとっても長期的な利益につながるのです。

 

国内市場での商品展開については、以下の点を意識しました。最初は、多くの消費者に「ヒマラヤチーズスティック」を知ってもらうため、BtoBでの販路開拓に力を入れました。しかし、中間業者を介すると利益率は下がってしまいますので、現在は少しずつ自社ECサイトなどを通した直販にシフトしています。市場やターゲットを分析するといった基本的な事項はもちろんですが、タイミングに応じたマーケティング戦略を展開することも重要です。

 

(文責 ソーシャルプロダクツ普及推進協会 学生部代表 樋口晃太)