一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会 学生部

「CSRとマーケティング」講座 最終回

-法政大学大学院「CSRとマーケティング」講座 最終回-

豊島株式会社、株式会社クレコス、合同会社Watashiba

 

今年の6月~7、法政大学大学院の「CSRとマーケティング」講座(担当:茂木 信太郎先生、法政大学非常勤講師/ソーシャルプロダクツ普及推進協会副会長/亜細大学経営学部教授)では、ソーシャルプロダクツ・アワード(SPA)の受賞者をゲスト講師に招いて、受賞商品の開発経緯やマーケティング上の工夫、市場の反響や課題などについての話を聞く機会を設けました。本特集では、その内容について簡単にご紹介していきます。

※講座についての詳細:https://goo.gl/1ZxbvF

 

最終回は、繊維の専門商社である「豊島(オーガビッツ)」様と、オーガニックコスメのメーカーである「クレコス(QUON)」様と、再生フェルトを活用してカバンなどを製造している「Watashiba(FelLe)」様に、具体的な取り組みをお話し頂きました。

 

タイトル】経済的側面も踏まえた綿花産業の変遷-オーガニックコットンのブランディング事例を踏まえて-

【 講演者 】豊島株式会社 営業企画室 広報:加藤 美月 様

【受賞商品】オーガビッツ:SPA2015 特別賞「インパクト」

 

豊島は繊維の専門商社です。弊社では、オーガニックコットン普及プロジェクト「オーガビッツ」※写真(「オーガビッツ」に賛同するアパレルブランドの商品例)を展開しています。同プロジェクトのコンセプトは「オーガニックコットン100%の商品を1人が使うよりも、オーガニックコットン10%の商品を千人、1万人に使って欲しい」です。これまで、オーガニックコットン商品には、①100%オーガニックコットンでなければならない、②染色・プリントをしてはいけないという暗黙のルールがありました。「オーガビッツ」では、普及を第一に考え、①オーガニックコットンの混率は10%以上でも良い(価格を安く設定できる)、②染色・プリントをしても良いという、アパレルブランドがより多くの生活者向けにオーガニックコットン商品を作りやすくするためのルールを定めています。

 

綿花産業は、生産地の途上国における農薬被害や児童労働などの様々な社会問題を抱えており、オーガニックコットンの普及はそれらの解決に資する取り組みです。しかし、プロジェクト立ち上げ当初は、その社会的な価値が取引先であるアパレルブランドや、エンドユーザーである生活者になかなか伝わりませんでした。そこで、「オーガビッツ」では、アパレルブランドや生活者が気軽に分かりやすい形で社会貢献できるプロジェクトを複数立ち上げ、商品と紐付けました。例えば、プロジェクトの1つに、東日本大震災の被災地に桜の植樹を行っている「さくら並木プロジェクト」があります。同プロジェクトに紐つけられた商品は、1つ売れるたびに5-10円が被災地に寄付されます。また、生活者やアパレルブランドが、植樹活動に参加することもできます。このように、商品を通してアパレルブランドや生活者と共に社会的な価値を生み出すことは、ブランディングにも貢献するのです。

 

タイトル】CRECOS VISION 2018~農と森と福祉と地域とのサスティナブルな取り組み~

【 講演者 】株式会社クレコス 代表取締役社長:暮部 達夫 様

【受賞商品】QUON(クオン):SPA2014 大賞

 

クレコスは、地域資源を活かしたオーガニックコスメを展開するメーカーです。主力商品の「QUON(クオン)」※写真は、奈良県において農薬や肥料を使用しない伝統的な農法「自然農」で栽培されている「大和茶」を原料に使用しています。栽培地域の大和高原では高齢化の影響などから、耕作放棄地が増加していました。「大和茶」の高付加価値化に成功した「QUON(クオン)」は、地域農業の活性化に大きく貢献しています。

 

同商品は、農業以外にも様々な形で社会に貢献しています。具体的には、森林保護と障がい者雇用の創出です。「QUON(クオン)」のパッケージは、間伐材を(パッケージに使用する手漉き紙の)原料にしています。そうしたパッケージの紙づくりや、「大和茶」からコスメの原料を抽出する作業などは、障がい者福祉施設に依頼しています。このような仕事の依頼は、単なる寄付とは違って、持続的な支援につながると考えています。企業が出来る社会貢献は金銭的な寄付だけではありません。課題の解決能力や、多様なステークホルダーを巻きこみリードするリーダーシップなどを活かせば、持続的なビジネスをという形で社会に貢献することが出来るのです。

 

タイトル】FelLe recycle Felt × genuine Leather

【 講演者 】合同会社Watashiba 代表:鍋谷 安弘 様

【受賞商品】FelLe(フェルレ):SPA2016 特別賞「アイデア×デザイン」

 

Watashibaは、ペットボトルをリサイクルして作られる再生フェルトを活用したエコ商品(カバンなど)「FelLe(フェルレ)」※写真を展開しているメーカーです。同商品は、エコであることを前面的にアピールしているわけではありません。素材である再生フェルトと本革の機能的な長所(それぞれ、防カビ性・形状安定性・安価さ/持続的耐久性・使い込みによる味わいや馴染みなど)を組み合わせ、高品質・長寿命を実現していることを訴求しています。あくまで商品としての品質の高さをキッカケに手に取ってもらい、後からエコな側面にも共感してもらえるようなモノづくりを目指しています。

 

「FelLe(フェルレ)」は、性別や年齢を問わずに受け入れてもらえるような、使い勝手が良いシンプルなデザインを実現しています。その原動力となったのは、志を共にするデザイン事務所や再生フェルトのリサイクル事業者との「協働」です。社会問題を緩和・解決しようとする際に、「協働」は極めて重要なキーワードとなります。しかし、誰とでも「協働」すれば良いというわけではありません。志や考え方の方向性が合っていないと、空中分解してしまいます。お互いの志や考え方を確かめ、その方向性を揃えるためには、対面でのコミュニケーションが重要です。膝をつき合わせて語り合わないと、伝わらない・感じ取れない想いが、「協働」する上では大切だからです。

 

(文責 ソーシャルプロダクツ普及推進協会 学生部代表 樋口晃太)