APSP第13回定例セミナーレポート<br>岩手・被災地域のこれまでと、これからの価値創造を考える

2015/03/07

APSP第13回定例セミナーレポート
岩手・被災地域のこれまでと、これからの価値創造を考える

第十三回:特別セミナー

ソーシャルプロダクツ普及推進協会では、2015年3月7 日に特別セミナーを開催しました。その概要をご紹介します。

「岩手・被災地域のこれまでと、これからの価値創造を考える」
特定非営利活動法人 遠野まごころネット 理事長 多田一彦氏

遠野まごころネットは、東日本大震災で被災した岩手県沿岸部の被災者の方々を支援するべく、遠野市民を中心として結成された被災地支援団体です。震災直後のボランティアコーディネートや緊急支援から始まり、その後は自然と共存し、人との繋がりを生み出す地域作りや産業振興などの活動を続けてきました。セミナー写真
しかしそういった活動も時の経過とともに変化が求められます。被災地内外の状況や国の制度も変化していくからです。現状はまだ、「被災地」だからということで支援を継続してくれているボランティアや企業があります。しかし長いスパンで考えていくと「非・被災地」の空洞化も進んでいくので、「被災地だから」というだけで支援を得ることはできなくなるでしょう。どのように必要な活動を継続しながら、どう生き延びていくのかということを考えなければなりません。あるべき未来や社会像を整理し、もっと多くの人にわかってもらえるようにうまく表現・発信していくことが私どもにとっての大きな課題です。

こうしたことを突き詰めていく中ででてきた結論が、ソーシャル(より良い社会づくり)へのシフトをデザインするということでした。これはスパイラルアップする自然循環によって柔軟で強靭な持続可能な社会の構築を目指すものです。まずは価値観を基に、ビジョン(将来像)を構築して行動に移します。その上で問題点があれば修正して、より進化させていきます。

ソーシャルへのシフトは、同時に、パラダイムチェンジを引き起こすものでもあります。それは経済であり、人々の生き方や幸せといったものです。例えば、今から10年後、20年後には被災地も非被災地も区別がなくなっているでしょう。その中で限界集落などが厳しい状況を乗り越える術としてソーシャルへのシフトがあるのです。ソーシャルへのシフトをデザインすることによって、最終的には自然農業が常識となり、価格競争ではない社会の構築や、田舎暮らしの人気アップなどが実現すると思われます。ソーシャルビジネスについても私たちは非常に重要だと考えています。これは、大きく4つに分けることが可能です。第一に、人と歴史を大切にし、助け合う地域づくりです。障害者、高齢者、生活困窮者などの社会的弱者の生き甲斐作りや伝統芸能の継承です。第二に、自然環境保護とその活用です。これは、緑の再生であり、植樹などですね。自然農業によって地域の固有種育成も目指します。第三は地域ブランドの開発、6次産業の推進です。具体的には生き甲斐としての生業づくり、就労支援 とのコラボレーションなどですね。ここにも自然農業は含まれます。そして第四は、風化に立ち向かう情報発信です。

関連する取組みとして、既に「地域の伝統芸能保存育成サポート」、「商品開発・ブランドプロデュース」、「収穫祭」、「ボランティアコーディネート/企業研修観光ツアー」などを実施しています。また、自治体などに対して、ハローワークと求職者と企業を繋げる機関「ハローワクワク(仮称)」の設置なども提案しています。現状のシステムは硬直化している部分が多く、例えば「挨拶が上手くできない」といった、ちょっとマナーに欠ける求職者がいるとすると、「ハローワーク」はそれだけで、その求職者を企業に紹介することを諦めてしまいます。
そんな時に、「ハローワクワク(仮称)」があれば、マナー改善の手助けをして、そうした人が再度職を求めるのを後押しすることが可能となります。これは社会的弱者支援の例ですが、この辺りの問題のとらえ方や対策に関しては現場にいる我々だからこそ分かることがありますので、気づきを継続的に発信し、持続する形での取り組みや事業の提案をしていきたいと思っています。

このように、私どものこれからの価値創造は、ソーシャルへのシフトやソーシャルビジネスを軸に展開をし、最終的には一般社会の活力にもつながるようなものを生み出していきたいと考えています。多くの企業や団体の皆様とパートナーシップを組んで進んでまいりたいと思っていますので、ぜひ皆様の継続的なご支援、お力添えをお願いいたします。

この企業について

特定非営利活動法人遠野まごころネット

岩手県遠野市材木町2-21

https://tonomagokoro.net/

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