ソーシャルプロダクツ・インタビュー<br>―株式会社ココウェル―

2020/12/02

ソーシャルプロダクツ・インタビュー
―株式会社ココウェル―

フィリピンではいたるところで見られるココナッツ。ココナッツを通じてフィリピンの貧困問題と日本人の健康問題をつなげ、好循環を生み出しているのがココナッツ専門ブランドのココウェル(大阪府大阪市)です。代表の水井裕様にココナッツを通じて目指す社会について聞きました。

ココウェル代表 水井様

 

―フィリピンの貧困問題と日本人の健康問題について教えてください。

フィリピンにはどこにでもココナッツがあるのに、地元の人はその魅力に気づいていませんでした。ココナッツ農家の方たちは、果肉を乾燥させたコプラを売るだけ。決して高い値では売れず、貧しい生活を送っていました。

一方、ココウェル設立当時の 2004年頃、欧米ではバージンココナッツオイルが美容に良いと人気が出ていました。ココナッツオイルには中鎖脂肪酸がたくさん含まれていて、トランス脂肪酸フリーでもあります。その頃はまだ日本ではあまり知られていなかったと思いますが、美容に良いだけでなく糖尿病やアルツハイマーの予防にもつながるといわれており、日本人の健康問題にも寄与することができるものです。

ココウェルの目的は、ココナッツの魅力を伝えフィリピンの貧困をなくすこと。フィリピンの貧困問題を解決できるココナッツ商品が、日本で消費され日本人の健康を支えてくれます。この好循環を生み出すことが私たちの目指す社会につながっていきます。

 

―ココナッツの良さを具体的に教えてください。

日本でも一時期ブームになりました。ココナッツオイルは美容に良いと、肌の保湿などに使用する人も多いです。ココナッツオイルには、ラウリン酸という中鎖脂肪酸がたくさん含まれています。 中鎖脂肪酸は体内で燃焼しやすくて、消化吸収も早く脂肪になりにくいのが特長です。効率よくエネルギーになるので、スポーツ選手にも向いています。また、中鎖脂肪酸は体内でケトン体に変換されやすく、アルツハイマー予防になるという研究もあります。

無臭タイプのプレミアムココナッツオイル

 

―ココナッツ商品を広めていく上での課題や取り組みはありますか。

ココナッツオイルブームもありましたが、我々の力不足もあり本当の良さをご存知ない方がまだまだ多いのが実情だと思います。様々な面で健康に役立つココナッツオイルの本当の良さをもっと多くの方に伝えていかなければなりません。

ココナッツオイルは他の油と比較しても酸化に強い特長があります。揚げ物とも相性が良いのです。ココウェルでは有機プレミアムココナッツオイルという無臭タイプのココナッツオイルがありますが、ココナッツオイルはそのイメージから甘い匂いがつきそうと言われることが多々あります。実際には全くの無臭で、酸化に強いためサクッと美味しく、身体にも優しくお使いいただけます。

最近になって少しずつですが、レストランやベーカリー、洋菓子店、和菓子店でも利用が広がってきています。ご家庭での使用はもちろんのこと、外食産業での用途を今後より一層開拓していきたいと思っています。

ココウェルカフェで提供するメニュー

 

―フィリピンで事業を始めたきっかけを教えてください。

ココウェルを始めたのは学生の頃に環境問題を学ぶため、フィリピンに行ったことがきっかけです。ゴミ山となっているスラム街のスモーキーマウンテンを見たときに衝撃を受けました。

フィリピン自体の GDP は成長していますが、その反面、格差の拡大が課題となっています。農村部と都市部での格差。農村で仕事がないからと都会に出てくる人たち。結局都会でも仕事がなく、スラム街に住むというのが現状です。この状況の根本は農村部での雇用です。雇用を作るためにココナッツが答えになると思いました。

 

―フィリピンでの貧困対策への成果はありますか。

現在、ルソン島やケソン州、ミンダナオ島などでココナッツ商品の生産をしています。ココナッツオイルのリップクリームを作っているエリアには、事業開始当時はココナッツ以外なにもありませんでした。 そこに協同組合を作り、小さな工場を作るところから始めました。 技術指導も行い、今では 100 人ほどが組合に所属しています。ここで働くようになって、「おかずの量が一品増えた」や「子どもが学校に通えるようになった」という声ももらっています。

ココナッツ農家を支えるために、 コーズマーケティングの手法も取り入れています。日本で「3 PESOS for COCONUT FARMER」のマークがついている商品を買うと、フィリピンの通貨で 3 ペソ(約 8 円。1 個当たり)を農家のために利用しています。

フィリピン東ミンドロ州のココナッツ農家の⽅々

 

―今後の目標を教えてください。

日本でもっとココナッツを食べてもらいたいし、知ってもらいたいです。そのために、ココウェルカフェを東京でもオープンしたいと考えています。もっと先の目標は、カフェをフィリピンで開くことです。日本の健康問題のことを話しましたが、フィリピンも糖尿病が増えていて深刻な状況にあります。フィリピンの人たちの健康に寄与するためにも、フィリピン人にココナッツの魅力を伝えていきたいです。

 

―ありがとうございました。

(当記事は2017年11月に発行された当協会ニュースレターにて紹介したものを、2020年12月現在の情報に改めた記事となっております。)

この企業について

株式会社ココウェル

大阪市西区立売堀5-5-7

https://www.cocowell.co.jp/company/

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