-フェアワイルド-

2016/03/19

-フェアワイルド-

ハーブ、漢方薬、お香、アロマ、スパイス、化粧品などに含まれる、さまざまな成分の中には、野生の植物由来のものが多くあります。そのために特定の植物が、過剰に採集され、絶滅の危機に追い込まれるケースも少なくありません。今回は、こうした問題の緩和や解決につながるものとして、持続可能な形で採集された植物を、国際的な基準で認証する「フェアワイルド」認証を紹介します。

●認証制度の特徴は?●

フェアワイルド認証は、WWF やトラフィック、ドイツ連邦自然保護庁(BfN)、IUCN などが開発した「薬用・アロマティック植物の野生からの持続可能な採集に関する国際基準(ISSC-MAP)」を包括し、フェアワイルド・ファウンデーションによって運営されています。この認証では、野生の植物などの適切な採集と、その取引について、守るべき 11 の主要なテーマを掲げ、その基準を満たして認証を受けた製品には、オリジナルのラベルが付けられます。それによって、生活者もその製品が自然に配慮したものであること、公正な取引が行われたことが、一目で分かる仕組みになっています。

●認証制度を利用するメリットは?●

フェアワイルドの認証マークをつけた製品には社会的な付加価値が与えられます。生活者はフェアワイルドのラベルを見ることで、その製品が、途上国の自然や人々に配慮して採集され、生産された製品であることを確認できます。事業者はその製品を取り扱うことで、生態系や社会への企業の責任を果たしていることを対外的に示すことができ、生活者の購入促進にも繋がります。トラフィックが出展したイベント(2007 年7 月、横浜)で行ったアンケート結果(回答数 220 人)では、商品に「フェアワイルドのマークがついていたら、買うときに参考にしますか?」という質問に対し、88%が参考にすると回答しています。

●認証を取得した取り組み・取得状況●

フェアワイルド認証の認証機関は、スイスに本部のあるInstitute for Marketecology(ECOCERT グループの一員であるIMOswiss AG)及び•Austria BioGarantie GmbH & AgroVet GmbHです。(2016 年 3 月現在)フェアワイルド認証は、認証が開始された 2008 年から、世界的に広がりを見せており、9 カ国で野生の植物採集を行なっている企業が、約 35 製品の認証を取得しています。(2016 年 2 月現在)
日本国内で認証を受けている事業者は現在ありませんが、認証マークの付いた原料、製品の購入が可能です。
http://shop.wwf.or.jp/Form/Product/ProductList.aspx?shop=0&cat=570003&swrd=&sort=2&img=1

●担当者からのコメント●

フェアワイルドは、持続可能な利用により人々の生活や健康、生物の多様性を守るため、薬用植物などの認証を推進しています。NGO との協働を通じて植物の公平な利益配分について、幅広く多様な人々や産業界に受け入れいてもらうことができると期待しています。(FairWild Foundation ブライオニー・モーガン) 日本では導入に際して有効なスキームが確立されていないフェアワイルドですが、資源の枯渇による植物原料の安定的調達への影響を懸念している企業が多いことがわかっています。野生資源の過剰な利用は、植物種の絶滅の大きな要因のひとつであり、生産地で野生植物の採集を収入源としている地域社会への影響も危惧されていることから、フェアワイルドに限らず日本企業にも、責任のある持続可能な利用の促進を期待します。「トラフィック(WWF 内野生生物取引監視部門)」

取材ご協力 WWF ジャパン 〒105-0014 東京都港区芝 3-1-14 日本生命赤羽橋ビル 6F
Tel: 03-3769-1711 (代)  URL:https://www.wwf.or.jp/

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