ソーシャルプロダクツ・インタビュー<br>―マルコメ株式会社―

2017/09/28

ソーシャルプロダクツ・インタビュー
―マルコメ株式会社―

マルコメ株式会社は今年8月、世界的トップモデルであるミランダ・カーをイメージキャラクターに起用して新商品「オーガニックみそパウダー」を発売しました。同社はこれまで定着してきたマルコメのイメージをくつがえすため、様々な商品展開、奇抜なマーケティング企画をおこなっています。

今回はそんなマルコメ株式会社の広報宣伝課、尾田春菜さんにお話を伺いました。

 

-まずはじめに味噌業界の現状についてお聞かせください。

国内の味噌需要は長い間減少傾向にありましたが、発酵食品全体の需要は2016年から若干の盛り返しを見せています。売れ筋商品の傾向としては、だし入り味噌が減少するとともに、健康志向の高まりもあり「無添加」「糀割合の高い味噌」などの販売数が伸びています。海外マーケットにおいては日本食レストランが急激に増え、そのほとんどが味噌汁を提供しているので、年々出荷量が増加しています。

 

-今回「オーガニックみそパウダー」を発売されようとした経緯、またミランダ・カーさん起用の背景などについてもお聞かせください。

最初にミランダ・カーさんをイメージモデルに起用した商品は、「糀美人」でした。もともとあった「生糀みそ」という味・特性ともに非常に自信のある商品を、20代30代の女性にも進んで手に取っていただけるよう、パッケージをリニューアルし、「糀美人」と商品名も一新して販売することになったのです。その際に彼女にイメージキャラクターになっていただいたのが去年の6月頃です。ミランダさんは、日本食に精通しておられ、普段からほぼ毎日私生活でもお味噌汁を飲まれるほどの日本食ファンだそうです。

その後、「バリバリ働く忙しいママでも簡単に使える」「健康志向の人々が安心して安全に摂取できる」などのキーワードのもと、原料からオーガニック素材にこだわったコラボ商品「オーガニックみそパウダー」の開発がスタートいたしました。

 

-これまでも有機JAS認定の味噌は販売されていましたが、今回発売される「オーガニックみそパウダー」について、中身の違い、売り出し方の違い、またターゲット層の違いなどはありますか?

市場に「みそパウダー」という商品はいくつかありますが、野菜だしの味噌パウダーはまだ多く出ていません。今回はベジタリアンの方に特化して開発したというわけではないのですが、それくらいにこだわりのある生活者の方々でも手に取りやすい商品となっております。健康意識が高い方や、食材にこだわりのあるお客様などをターゲットとし販売を開始しています。また、売り出し方の面では、人気の料理動画サイト「SnapDish」とコラボし、使い方レシピを店頭POPとして設置するなど、生活者目線に立った商品の使いやすさ、手に取りやすさの追求POPとして設置するなど、これまで以上に生活者目線に立った商品の使いやすさ、手に取りやすさの追求を心を心がけています。

初めての試みのため、どの程度反響があるかが分からないので、まずはテスト的に少ない店舗数から始め、反響を見つつ徐々に範囲を広げていきたいと考えています。

 

-オーガニックブームで、健康意識の高い生活者の方が年々増えておりますが、大手食品メーカーとしてはこのような現状についてどのように捉えられていらっしゃいますか?またそれによる影響などもあればお聞かせください。

もともと味噌や糀などの発酵食品は健康に良いものとして知られているので、それらの強みを伝えていく上でも、弊社の商品特性とオーガニックブームとの相性は良いものと考えています。商品の売れ筋として、無添加味噌・甘酒の人気が上昇していることなどもおそらくそういった生活者の健康に対する意識が関係しているのではないかと思います。

また、社会的にも地球環境にやさしいエコロジカルな生活や、持続可能性を志向する新しいライフスタイルへの意識も高まる中、弊社では皆さまに手軽で健康的な食生活を送っていただけるような商品づくりと共に、環境に配慮した生産を心掛けております。

 

-海外マーケット向けの生産が伸びているとのことでしたが、宗教上の問題などもあって、商品生産時の規制や制約が日本より多いなど、国内向けとは異なる課題があるかと思います。その辺りの違いや対応について教えてください。

国内では無添加のお味噌の需要が伸びていますが、だしを入れないと本来の味噌汁のおいしさを引き出すことができません。そのため、味噌を溶かすだけでおみそ汁が簡単に作れる「だし入り味噌」が海外マーケットでの主力商品となっております。成分規制があって魚のだしが使えない場合もありますので、その場合は野菜や昆布など他の成分で代用することになります。その際おいしさを保つ工夫などが課題となります。

 

-東京オリンピックが近づくにつれ、訪日客数もさらに増加することと思いますが、御社としてインバウンド対策などはおこなっていらっしゃいますか?

例えば「ダイズラボ」というブランドの中にある「大豆のお肉」という商品を餃子専門店で使用していただくなど、海外の宗教的規制がある方や、健康意識の高い方達にも安心して弊社商品を口にしてもらえるように取り組みを行っています。今後そのようなレストランとのコラボなどもますます増やしていきたいと考えています。

 

-消費者に味噌の魅力を伝えるために行っている、普及活動やイベントなどはありますか? 特に近年若年層の味噌離れが進んでいるといったお話もありますが、そうした層への具体的な取り組みや、日本の伝統食である味噌の継承と食文化を伝えるための食育等の取り組みもあればお聞かせください。

これまでにない新しい味噌汁開発プロジェクトとして、若年層に絶大な人気を誇る「味噌汁’s」とコラボをし、熟成中の味噌にロックを聴かせた味噌汁を発売するなど、一風変わった取り組みを行っております。ニュースや中SNSでも話題にされるなど非常に反響がありましたので、第二段として世界中の「カワイイ」という声を聴かせた、「カワイイ味噌汁」の販売も致しました。販売もロックフェスティバルのブース、期間限定ショップ、若い世代も立ち寄ることの多いコンビニエンスストアなどを中心に行い、10代、20代の心に寄り添ったマーケティングを展開することで、若者たちとの距離が非常に縮まったことを実感しました。

食育に関しては、「味噌の食べ比べ教室」「手づくり教室」などの体験型ワークショップも行っております。また夏休みの自由研究で使える「オリジナルみそ手づくりキット」なども販売し、お子様にも味噌と触れ合う機会を喜んでいただいております。

 

-最後に社としての今後の方向性についてお聞かせください。

「マルコメと言えば昔ながらの味噌」というイメージが定着していますが、発酵商品は他にも「大豆」「甘酒」「米糀」と色々あります。日本古来の発酵技術を通じ、人々の健康を支えるそれらの商品を世界中の人々に届けるための商品づくりに注力していきたいと考えています。味噌製品はもちろんのこと、味噌以外のさまざまな商品の展開を更に強化したり、新事業などにも力を入れていきたいです。

 

-ありがとうございました。

 

 

この企業について

マルコメ株式会社

長野県長野市安茂里883番地

https://www.marukome.co.jp/

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