有本幸泰_APSPメンバーインタビュー

2020/07/31

有本幸泰_APSPメンバーインタビュー

「APSPメンバーインタビュー」は、ソーシャルプロダクツ普及推進協会(以下APSP)を支えてくれているメンバーを紹介するコーナーです。イオントップバリュ株式会社にてソーシャルプロダクツのPB開発を行い、多様な教育活動の実績を持ちながら現在はAPSPのシニアアドバイザーを務める有本幸泰さんにお話を伺いました。

―まずは、今まで取り組んできた活動について教えてください。

イオントップバリュに勤めていた時は、商品開発と消費者の教育に関わっていました。2000年に、「買い物をしながら社会貢献をしたい」というお客様の声を受けて、インドネシアでフェアトレードコーヒー商品の開発に関わりました。そこで持続可能性という概念に触れて、消費者が持続可能な社会づくりに参加できる商品を作り続けたいと考えるようになりました。その後は様々なソーシャルプロダクツの開発やPRに関わってきました。持続可能性やソーシャルプロダクツを若い世代に伝えたいという想いから、出張授業で学校を訪問するようになり、年間60講の授業をしたこともあります。こういった仕事は20年くらい関わらせていただきました。

 

 

個人的な活動では、災害の支援活動や母子手帳普及運動にも取り組んできました。イオンの理念は「平和・地域・お客様」というものですが、東日本大震災でそれを改めて考えさせられました。震災後はお店を開けないし、もちろん観光客も来ない。「平和でなければ経済は発展していかない」ことを痛感し、まずは世の中を少しでも平和にしたいという思いで災害の支援活動をしていました。防災士の免許も取ったんですよ(笑)。

―これまでのAPSPとの関わりについて教えてください。

第1回のソーシャルプロダクツアワードで、イオントップバリュのフェアチョコレートを取り上げていただいた(2013年度ソーシャルプロダクツ賞受賞「甘さひかえめビターまろやか口どけミルク」)のがAPSPとの関わりのキッカケです。企業と企業をつなげる、というAPSP独自の役割に興味を惹かれて、現在もお仕事で関わらせて頂いています。今までの経験を活かしてAPSPに貢献していきたいという思いです。

―現在、社会的課題に向けて取り組んでいることを教えてください。

企業同士をつなげることです。SDGsで言えば、一番「パートナーシップで目標を達成しよう」に取り組んでいます。SDGsには17の目標が掲げられていますが、それらを一つの企業でこなしていくのは難しいと考えています。得意分野ごとの役割分担が、今後の社会では大事になってくる。それぞれ違う得意分野を持つ企業をおつなぎすることで、社会への影響力が大きなものになると思います。

例をあげると、アサヒビール様とボーイスカウト様をつなげた「森と未来をつくるコンテスト」や、初の「日・ラオス外交関係樹立65周年記念事業」に認定された「結びの輪プロジェクト」などがあります。一つのことに協力して取り組むための「キッカケづくり」を大事にしたいという想いでこれらの活動に取り組んでいます。そしてこの取り組みを大きくしているのはAPSPの皆さんですね。これからもAPSPの活動で、いろいろな会社と実績を積み重ねていきたいです。

また、APSPのPRにも力を入れています。SDGsに興味がある人がいても、どこでそういった商品を買えるのかが分からなければ実際には買っていただけないですよね。さらに、買っていただけなければ利益が出ず、事業が持続しなくなってしまう。それでは持続可能な社会につながりません。そこで「販路の確立」に取り組んでいきたいと思っています。APSPやSoooooS.(スース:ソーシャルプロダクツのショッピングモール。APSPの関連団体)をPRすることで、SDGsに興味のある人に「ここなら買いたいものが見つかる」と安心して買い物をしていただけることを目指しています。

 

 

―自身の活動で、大事にしていることを教えてください。

「企業に利益をもたらすこと」と「若い世代に伝えること」です。東日本大震災の後、復興は進んでも人がどんどん離れていくのを目の当たりにしました。しっかりした経営基盤があり、ビジネスや観光が繁栄し、利益が出ることで初めて住民や観光客が戻ってくるのだと強く感じました。SDGsへの取り組みに関しても、いくら「いいこと」をしても繁栄していかなければ意味がありません。販路を確立する上でも、利益につながるように考えて動くことで、ビジネスとして持続する関係ができていき、活動の継続につながると考えています。

また、活動を持続するためには、社会的課題の解決への想いを若い世代に伝えていくことが大切です。社会的課題は数多くありますが、短期間では解決できないものがほとんどです。私はイオン時代から学校を訪問して講義をすることも多かったですが、今でもさまざまな場所で消費者教育を続けていますし、これからも続けていこうと思っています。

―今までの取り組みの中で、苦労したことを教えてください。

イオン時代と現在(APSP)でそれぞれありますけど、共通するのは「伝えることの難しさ」です。

イオン時代は、会社が大きすぎることが問題でした。出店する際は、地域活性化や雇用促進などの影響があるにもかかわらず、地元の人たちにはそれが伝わらないことが多かったです。もちろんこちらも利益を出したい気持ちはあるので様々な戦略を立てていましたが、地元商店街の侵略のようにみなされることも多かったです(笑)。そこで試食会を開くなど、商品の生産方法の背景を見せることで地元の方達に納得していただくように努めていました。

現在はAPSPの想いを伝えることに苦労しています。例えばトヨタは、プリウスによって環境にやさしいというイメージが広がっている。残念ながら、APSPはまだまだ知名度が低く、プリウスのような象徴になるプロジェクトがありません。APSPの想いやイメージを象徴するプロジェクトをどんどん産み出していきたいです。

どちらにも共通するのは、商品自体のモノではなくて、その背景や想いなどのコトを伝えなければいけないということです。背景や想いを伝えて行動(購入)につながった時の感動を知っているから、今は苦労というより楽しさに置き換わってしまっています(笑)。

―今後の課題や展望を教えてください。

今後は、APSPやSoooooS.をソーシャルプロダクツの発信基地にしていきたいと思っています。買い物を通した社会貢献を誰もができる世界を実現したいです。そのための課題としては、発信力をつけることだと私は考えています。どんなことをしている団体なのかが世の中で知られるよう、実績を積んで情報基地としての説得力を高めていきたいです。世のためになることをしながら、消費者とWIN‐WINな関係になれればいいなと思っています。

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