ソーシャルプロダクツ・インタビュー<br>     ―みんな電力株式会社「顔の見える電力」―

2019/11/08

ソーシャルプロダクツ・インタビュー
―みんな電力株式会社「顔の見える電力」―

昨今、RE 100(Renewable Energy 100%)やSDGs(持続可能な開発目標)の広がり、電力の小売り全面自由化などを背景として、再生可能エネルギーの活用・推進に向けた取り組みが注目されています。みんな電力株式会社は、「顔の見える電力」をコンセプトに、ふるさと・地域に根差しながらエコな電気を発電する生産者と、消費者・法人をつなげるオンラインサービスを展開する新進気鋭のベンチャー企業です。今回は、同社の皆様に、サービスの特徴、ユーザーからの反響、プロモーション戦略、今後の課題・展望などについて、具体的にお話し頂きました。

― まずは、「顔の見える電力」の特徴を教えてください。

「顔の見える電力」では、産地直送の農作物販売サイトのように、全国各地の発電所でどんな人がどんな風に発電しているのか詳しく紹介しています。それらの中から応援したい発電所を毎月1つ選び、電気代の一部を寄付できるのが最大の特徴です。応援を重ねると、地元の野菜やお米といったお礼品を送ってくれる発電所もあります。登録されている発電所は、規模や主体、発電方法、発電に取り組む背景など様々です。例えば、水力発電所を運営している地方自治体、東日本大震災の復興事業として太陽光発電に取り組む団体などにご登録いただいてます。

弊社の自社企画では、東京都世田谷区のアパート屋根に設置した太陽光の発電所(ドレミファSOLAR発電所)があります。この発電所で作られた電気の一部は、同じ世田谷区にある「世田谷ものづくり学校」へ供給されており、電気の地産地消を実現しています。返礼品には、レゲエミュージシャンのリー・スクラッチ・ペリー(Lee “Scratch” Perry)が電力自由化をテーマに歌ったオリジナルCD「ドレミファSOLAR」をご用意しております。

 

― とてもユニークな仕組みですね。そのような仕組みを思い付いたキッカケは何だったのでしょうか?

ある日、弊社代表の大石が電車内で携帯電話の電池を切らしそうになっていた時、たまたま目の前に立っていた綺麗なお姉さんがソーラー式のコンパクト充電器を持っていました。そのお姉さんからなら、お金を出してでも電気を買っても良いと思ったのが、事業着想のキッカケです。

電気は誰でも生産することが出来ます。例えば、ドラマを観ているテレビの電気が生まれ育った地域の川から生まれた電気だったり、SNSをしているスマホの電気が福島県の復興につながる電気だったりしたら、親しみを感じたり共感したりしませんか。地域・一般生活者・非営利組織などが、それぞれの背景・ストーリーのもとで電気を販売していくようになれば、「貧富の解消」「地域の活力向上」といった社会課題の解決にもつながるのではないかと考えました。

 

現在のユーザー数を教えてください。また、反響はいかがでしたか?

個人のお客様は、約2000人にご契約いただいております。登録されている発電所の数は、80~100程度になります。まだ、大々的な広告などは打っておらず、口コミや紹介を中心として徐々に拡大しているという段階です。10万人を超えるお客様にご利用いただくことを、最終的な目標として邁進しております。

反響としては、電力を切り替えただけで、地域社会や環境などに貢献できて「気分が良い」といったお声を沢山頂いております。生活者の社会的な意識が高まってきている中、自然災害に対する寄付などだけでなく、さらに何か一歩進んだ取り組みをしたいと考えている方が多い一方、忙しかったり、お金に余裕がなかったりして実践できないという方も沢山いらっしゃいます。そうした方々にとって、「顔の見える電力」への切り替えは気軽に実践可能で、楽しみながら支援ができるので、魅力的に映るのかもしれません。
また、料金体系などの条件面でなく、「顔の見える」というコンセプトに共感いただいて、契約してくださるお客様が多いせいか、解約率は極めて低い水準となっております。

 

ユーザー獲得に向けたプロモーション戦略などは展開されていますか?

自社で広告を出すことはあまりせず、様々な団体さんとのコラボレーション企画を展開しています。例えば、アパレルブランド3社(「BAL」「nonnative」「UNDERCOVER」)とのコラボアイテムをファッション通販サイト「ZOZOTOWN」にて発売し、購入してくれたお客様が「顔の見えるでんき」にエネルギーを切り替えてくれた場合には、ソーラーシェアリング発電を導入している農地で生産された特産品をプレゼントするというキャンペーンを実施しました。「nonnative」「UNDERCOVER」とのコラボTシャツには、「THE CHOICE IS YOURS(選択するのはあなた)」というメッセージがプリントされており、こだわって服を選ぶ高感度な生活者に、エネルギーも発電の背景やストーリーを踏まえて選ぶことを提案する企画です。

最近では、「電気にも産地がある」ことを来店者に知ってもらうべく、「新宿 BEAMS JAPAN」「マルイファミリー 溝口」に弊社が出展し、「電気を店頭で販売する」という前代未聞のコラボレーション企画を実施しました。

「新宿 BEAMS JAPAN」では、東日本震災復興支援を目的として、みんな電力を通じ、主に福島県南相馬市の「野馬土発電所」の電力を使用して頂いております。本企画では、「顔の見える電力」の電気代として使用できる「でんきのカード」※と、日本酒や味噌、積み木といった各地域の名産品を期間限定で販売しました。

 

 

「マルイファミリー 溝口」では、丸井グループでの再生可能エネルギー利用1周年(みんな電力が供給)を記念し、同グループが選んでいる下北半島の風力発電にちなみ、自然エネルギーを生み出している地域の魅力的な産品を取り揃えた「電気と食の物産展」を開催しました。物産展では、ホタテ貝柱、菜の花サイダー、うにだれ、天然わかめ、ねばりとろろといった下北半島の産品や、自宅の電気に再生可能エネルギーを選べることをご説明した上で「でんきのカード」※を販売しました。

※「でんきのカード」:店頭でカード(価格:1000円)をご購入後、カードのURLからみんな電力に切り替えていただくと、初月の電気代から3000円分が差し引かれるお得なカード。
このようにコラボレーション団体の切り口で、ライフスタイルやお買い物などを通して自然に楽しく提案することを大切にしています。

また、「ENECT」というエネルギーに関する情報が集まるポータルサイトを運営しておりまして、その中で再生可能エネルギーと絡めた豊かなライフスタイルや、電力の切り替えに関する最新のトピックなどを発信しています。

「ENECT」では、競合他社の取り組みも沢山紹介されています。どのような意図があるのでしょうか?

「ENECT」は、「顔の見える電力」の宣伝のために、運営しているサイトではありません。あくまで、エネルギーや電力に関する情報なら、何でも知ることができる場を目指しております。といいますのは、サイトのコンテンツを通して、生活者の方に電力を使用する上での選択肢を知ってもらう機会を提供したいという意図があるからです。まずは、エネルギーについて考えたり、発電の背景やストーリーに触れたりする人を増やしていくことが先決であると考えています。そうした積み重ねが、再生可能エネルギーを取り巻く環境・業界全体を盛り上げることにつながり、ひいては弊社のユーザー増加にも寄与すると信じて、情報を限定せず、様々なコンテンツを配信しているのです。

最後に、今後の展望・課題を教えてください。

さらなるユーザーの獲得が、第一の課題です。しかしながら、電力の切り替えは、差し迫ったニーズや必要に迫られるということが基本的にないという課題があります。現在も、異業種コラボレーションや「ENECT」のコンテンツなどを通して取り組んでいますが、電力だけに限定せず、背景やストーリー、すなわち「顔」の見えるライフスタイルを提案・発信していくことが、ユーザーからの共感につながると考え、様々な展開を模索しております。

「顔の見える」というコンセプトを双方向にするというのが、第二の課題です。登録いただいている発電所の方々から、「自分たちが地域で発電した電力を都会の方に使ってもらえてうれしい」といったお声を頂いているのですが、そうした方々に「ユーザーの顔」が見える取り組みを実施していきたいと考えております。

 

ありがとうございました。

 

【参考】

『みんな電力 HP』(https://minden.co.jp/)/『ENECT(エネクト)』(https://enect.jp/

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