APSP第25回セミナー

2019/12/25

APSP第25回セミナー

◆SDGs時代のソーシャルプロダクツ
~再生ペットボトル素材のアップサイクルバッグからみる
リサイクルの課題と、生活者の新たな視点~

 

○講演1
「廃ペットボトルからつくるアップサイクルバック」
鍋谷安弘様(合同会社 Watashiba 代表)

 

 

◆このバックの原材料はなにからできているかわかりますか?

このバックのフェルト素材は使用済みペットボトルを原材料としています。
ペットボトルのごみの量は日本で年間60万トンといわれており、そのうち50万トンが回収されています。その使用済みペットボトルから、再生繊維、シート、成型品など様々な用途で再利用されています。再生繊維は綿にして、自動車の内装などとして利用されます。シートは卵パックや防草シートに、成型品は洗剤ボトルや文房具などになります。

◆再生ペットボトルの工程

回収されたペットボトルから繊維等の原料であるペレットへの過程は、

① びん・缶・ペットボトルを回収
②中間処理業者がびん・缶・ペットボトルを分別
③集まったものをプレス
④ 不純物、異物を取り除く
⑤ 破砕、洗浄
⑥ ⑤を水槽に入れてさらにラベルやキャップを分別する
(ラベル・キャップは水より軽く、ペットは水より重いため沈んだペットのみ回収)
⑦ 破砕されたペットをフレークにする
⑧ ⑦に熱を加えて押し出し、帯状にする
⑨ ⑧をぶつ切りにして「ペレット(3mm)」にする

こうして長い工程を経てできたペレットを繊維、シート、成型品などになってペットボトルは再利用されます。


  • ◆FelLe[フェルレ]ブランドの誕生
    ~「再生材は安物、リサイクル品はゴミ、ゴミからできるから安い」
    というイメージからの払拭~

     

    リサイクルの押し付けをすることなく、「これいいね」と手に取った商品が実はエコだったと、後から共感する商品を開発して、Watashibaは、再生フェルトを使った生活雑貨を扱う「FelLe」ブランドをスタートさせました。
    再生フェルトと使い込むほどに経年変化する本ヌメ革といった、普段は交わりあうことのない2つの環境素材を組み合わせて、味わい、温かみ、軽さ、丈夫さ、弾力性、持続耐久性、防虫性、形状安定性のある高品質な新しいスタイルの商品を生み出しました。

    FelLe は、性別や年齢を問わず、本物志向でモノを大切にする人に選んでもらえるように、使い勝手が良いシンプルなデザインにしました。これらを実現することができたのは、新鋭のデザイナーや再生フェルトのリサイクル事業者との「協働」です。協働することで新しい付加価値が産まれました。今後もこういったモノづくりをしていくことで、リサイクル品の価値向上とリサイクル現場に関わる人たちが社会貢献していることを実感できるような環境を作りたい。

 

合同会社Watashiba:https://watashiba.com/

 

 

 

 

○講演2
「令和時代のソーシャル消費」石鍋仁美様
(日本経済新聞社 編集局 経済解説部編集委員室)

◆アメリカ経済団体が株主第一主義を廃止

議論を呼んでいる夕刊の一面記事です。アメリカ最大規模の経済団体「ビジネス・ラウンドテーブル」(日本でいう経団連)が株主第一主義を廃止すると宣言した。宣言は法律ではないので強制力はないが、今まで50年間、株価をあげて配当を手厚くすることが経営者の使命であると一貫していたのを、大転換をした。記事によると、顧客、従業員、取引先、地域社会での貢献、株主を大事にすると。オールステークホルダー全員にきちん配慮する企業経営の宣言。この宣言を人によっては「改革に疲れたから。株価をこれ以上上げるのが無理だから」という冷ややかな意見もある。大半の捉え方は、今までのやり方よりも地域や社会に対して企業の在り方を考えないと、ぐるっとまわって企業の価値が損なわれるという意見が増えている。
8/20の日本経済新聞の「十字路」というコラムに、SMBC日興証券の方が「ESG(環境、社会、ガバナンス)をもっと大事にするべき」という記事を書いていているが、若い人たちは、社会にどれだけ貢献しているかを気にして会社選びをしている。
優秀な人を確保したい、社会から反感を受けない企業が支持されるという事も含めて、S(社会)は株主にとっても投資家にとっても大事な点です。株主第一主義の見直し、株主のタイプが変わっているので、株主も含めて企業の行動、目指すものが大きく変わろうとしている。

◆消費者が求めているモノ

経団連初の女性役員に就任したことがある企業経営者の吉田晴乃さんの記事です(記事がでた直後に亡くなってしまった)。
消費の傾向について作った記事です。SDGsの延長線上として消費の場でエシカルをリードしているのは女性の消費者。具体的には、かつて生協は安さが売りだった生協では、資源や労働者に配慮した商品の売り上げが伸び、品数も増えている。消費者の意識が変わり、経営者も世代交代し、意識が変わり、安さだけが今の消費者が求めているものじゃないというスタンスに変わり、資源のサステナビリティに配慮したような商品や、鳥の保護などの商品を投入して売れて、その実績をもとにまた生産量や品目を拡大。経営も消費も変わりつつある。

◆スペンドシフト現象~最近の消費者が企業やブランドに求めるものは?~

かつてに比べて減少している価値はミステリアス、豪華、グラマラス、ワンランク上にいける、等購入する事によって自分がワンランクうえにいったような気になれるもの。
一方、増加しているのは信頼、親切、社会貢献、友達のようにより沿ってくれるか。
調査責任者で著者の説によればリーマンショックで生活が厳しくなっているのが背景にあり、自分の人生に寄り添ってくれる商品やブランドであるか、自分が属しているコミュニティ(国や地域)の存続にその企業が貢献しているか、親切にしてくれるかを大事にしている。

◆いいものをどう伝えるか。

マザーハウスというファッション雑貨。途上国から世界に通用する一流ブランドを作るという理想をかかげて山口恵理子さんがかかげたブランド。従業員現在は100人超えているが創業時の4人だった直後に取材した。バングラの向上も取材行った。小学校からいじめにあい、不良になり、けんか強くなりたくて柔道を始め、工業高校に入り、そこで色んな出会いがあり、世界のために何かがしたいと思いNYの国連関係の機関に行くが机上で数字計算しながら貧困の話をしている事にいらいらして、最貧国バングラに飛んで、NPOがやっている大学院に行き、行きながら大手商社で働き、付加価値の高い物をつくれば貧困脱出できると考え起業決意し貯金を使って鞄何個か作って東京のデザインフェスタで売って少しずつ事業を立ち上げていった。工場つくるもある日突然夜逃げで誰もいなくなっていたり、七転八倒しながら起業していったストーリー。イノベーターとしても素晴らしいと思うのは、国内で30箇所くらい店あり、共鳴した若い人が働いている。ものすごく高くはないが安くもない。ヨーロッパの高級ブランドで多くあるのが、実際はどんな環境でどんな人がなめして縫って作ってるか製造過程を伏せる事が多い。最後の工程だけ自国でやり、made in Italyとかうたう。マザーハウスは隠さず、店はスタイリッシュにしているが、どんな人が作っているかアピール、写真も展示してある。かわいそうだからではなく、みんな真面目にこんな環境でつくっているという事をアピール。高級を目指すブランドとしては逆転の発想。作っている人たちのありのままを見せている。それ自体の10代の頃の環境ともなんとなくオーバーラップしていて隠すのもおかしいというスタンス。現在はネパールにも生産地が広がっているが、カバンやアクセサリーを買う事によって生産者の応援にもなるし、山口さんの夢を応援する事にもなる。
顧客を招いてイベントを行っている。参加料有料だが参加料を払ってでも参加したいと思わせる。年一の創業祭や、バングラの人たちが来たから囲んで一緒に話す等のイベント。スカイプでつないで工場の生産者と会話する事も。それに共感した人が業界を超えて広がって、HISが飛行機まるごと使って工場行きませんか?とツアーを企画すると応募者多数。日本の学生がバングラに行くとカバンつくりを教えてもらえる。HISは現在スタディツアーを多くやっているがマザーハウスが第一弾。途上国で交流したり学んだりしたいという需要が日本人の中にある事がわかってきた。生産している工場をみせるのはブランドビジネスとしては勇気がいる事。商品工場しかりファッションだけじゃなく。多く見せる事によって共感を得られる。理論的にやっているわけではないが自然とイノベーションになっている。

◆トキ消費

こういった例を消費トレンドで考えていくと、戦後の昭和はモノの消費の時代だった。たくさんの物、高い物を持っていれば幸せ。それが平成になり物の価値が下がり、コトの時代(体験)となる。そば打ちやテーマパークが人気になる。収入が下がってもテーマパークには行ける。令和の時代は違う様子を呈しているとの声が増えている。博報堂の生活総研の夏山さん達のチームが言っているのは「トキ」消費→①非再現性(いつもでどこでもではなく今だけ、ここだけ)、②参加、③貢献(自ら関わりたい、それが実現したとかこういった事が良くなったと思いたい。一環として応援したい人を応援するべき時に消費で支えて結果を共有する。被災地の応援消費をする、クラウンドファンディングでモノづくりを助ける)。
伊藤忠ファッションシステムの中村ゆいさんは「ヒト」というキーワードを教えてくれた。趣味趣向の多様性が大前提。論争ではなく共存していく。SNSで誰が何をしているかと常に見て、客観視している。2人以上で何かを楽しみたいという気持ちが強い。バブルまでの消費は自分起点の差別化とか自己顕示とか自己実現、周りの人が行っていない秘境に旅行するとか。でもそれは共有できないから楽しくない、それだったら友達同士で熱海にいっていた方が楽しい、そういった感じ。若い人たちが人のために動いて自分だけの満足追求はかっこ悪いという風に。そんな中からクラウドファンディングや、応援商品、コミにケーション商品がうまれてきているんだろうと。

◆出入り自由な宗教

最後に簡単に糸井重里さんを紹介したい。ほぼ日という手帳等を売っているが、彼のかつて書いたコピーは1988年の「ほしいものが、ほしいわ」。バブル崩壊前の3年前だが西武百貨店のために書いた。そのあと2000年に「捨てる技術」というベストセラーできるが、著者の辰巳渚さんはパルコの社員だったので当時のセゾングループがいかに優秀な人材が多くいたかが分かる。「ほしいものがほしいわ」の真意を2011年に取材に行きました。どうしても聞きたかった。「もうほしいものが見当たらない。」「でも本当に欲しい物なら僕たち消費者は買うよ」という二重の意味を込めたコピー。のちに彼はほぼ日をつくり、手帳などのモノづくりに自ら乗り出していった。糸井さんの夢を応援したいというような消費。糸井さんは自分を客観的に見ているから「宗教みたい」との批判を受けるが、その時に「出入りり自由な宗教」だと答える。彼も全共闘だったが途中でリタイアした内ゲバの経験者。あぁいう正しさを全面に出してチカラで屈服させるのはだめ。自然に応援したいという人が寄ってくるようにする。それは宗教的でもあるが、脱退したら罰則があるなど劣悪なものではない。信じなかったら地獄に落ちるぞという脅しでもない。こうしないと地球がだめになると脅しでせまると、関わろうという気持ちがなえてしまう。出入り自由で楽しい宗教。それはやってる人たちに魅力や夢があったり、そんなアプローチの仕方を少し考えてみてはどうでしょうか?

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