ソーシャルプロダクツ・インタビュー<br>     ―住友生命保険相互会社「Vitality」―

2019/11/27

ソーシャルプロダクツ・インタビュー
―住友生命保険相互会社「Vitality」―

「健康を意識するようになった」93%、「生活の質が高まったように感じる」84%。これらは、スポーツ施設や健康食品などの話ではありません。住友生命保険相互会社が2018年7月24日に発売した、健康増進型保険“住友生命「Vitality」”への反響です。この画期的な保険商品に、開発から携わったというVitality戦略部 Vitality推進室の北村英之様に、商品開発のキッカケや、お客さま・パートナー企業からの反響、今後の課題・展望などについて、具体的にお話をうかがいました。

 

 

―まず“住友生命「Vitality」”とは、どのような保険商品か教えてください。

従来の保険商品は、「リスクに備える」ことを目的にしたものでした。“住友生命「Vitality」”は、それだけでなく、「リスク自体を削減する」という目的を持った商品です。

お客さまの健康増進を応援することで、当社が目指している「CSV(Creating Shared Valueの略。お客さま、社会、会社・職員の共有価値の創造)」を実現するために効果的な役割を果たすものです。お客さまが健康になることによって、社会的課題である健康寿命延伸にも貢献する商品であると考えています。

「Vitality」はもともと南アフリカ発祥です。健康増進プログラムを付帯した革新的な保険サービスとして世界21の国と地域で展開されており、約1,130万人が加入しています(2019年6月末時点)。加入者の健康増進活動により、個々に判定されたステータスに応じて保険料が変動するのが特徴。健康になればなるほど、保険料が割引されるという仕組みです。

また、健康増進のモチベーションとなるような各種特典(リワード)も充実しています。例えば1週間の目標を達成できたら、ルーレットが回せて、もれなくコーヒーやスムージーなどのリワードが当たるんです。

 

―これまでにない保険商品ですが、どのようなきっかけで開発されたのですか?

すべてのお客さまのお役に立ちたいという思いが最初にありました。これまでの生命保険においては、加入してよかったとお客さまが実感できるのは、事故や病気など万が一のことが起きたときに限られます。その一方で日々を健康に過ごしていただいている多くのお客さまに対しても、何か新しい価値を提供できないかと考えたのがきっかけです。

「Vitality」の導入検討を始めたのは約5年前です。当時、私は数理室(様々なデータや統計の分析や保険率の算定等を行う部門)にいたのですが、健康を気遣っている方とそうでない方の死亡率などには差があるはずだという議論がありました。それまでの保険料は、性別と年齢だけで判断されていましたので、そこに健康という新たな尺度を導入することで、フェアになるのではないかと思いました。

では、どういう風に商品化できるのか?と考えて調査を進めると、やはり南アフリカのディスカバリー社(Discovery Ltd.)の「Vitality」が注目されていて、日本にも導入したいと考え、当社が独占契約を結びました。

 

―発売してからの反響はいかがですか。

2018年7月24日に発売し、2019年9月の時点で加入者は30万人を超えています。10年で500万人を目標にしているので、まだまだ道半ばですが、「Vitality」を実際に体験されたお客さまがそれぞれのコミュニティで広げてくださっていたりして、認知度も高まってきているので今後加速していくと見込んでいます。

お客さまの健康面での反響にも手応えを感じています。発売から約1年後の2019年7月に行なった加入者アンケートでは、「加入前よりも、健康を意識するようになった」と答えた人は93%に達していました。実際にデータを確認してみると「1日あたり歩数の増加率」は+17%、加入時に血圧が高めとされていた人のうち「血圧が10mmHg以上下がっている人」が48%という結果が出ました。こういったことを含めて、何よりも嬉しかったのは「生活の質が高まったように感じる」と答えた人が84%を占めていたことです。このように、実際にお客さまの健康に役立っていることがインパクトのある数字で目に見えてきています。

 

―行動につなげられていることが素晴らしいですね。

歩数について言うと、「Vitality健康プログラム」のポイント獲得基準は、8,000歩、10,000歩、12,000歩に設定しているのですが、加入者の歩数分布をみると、それらの数字が突出して増えており、行動変容が目に見えます。家に着くころに9,800歩である場合、あと200歩だけ家の周囲を歩こうといったきっかけになるということです。

 

行動経済学の要素を踏まえて設計したという点では、例えば加入時の保険料は最初から15%オフになっています。これはステータスによって変動するのですが、一旦割り引かれている状態から費用が上がることを人は嫌がるので、最低でも15%オフをキープしたいという気持ちが出てきます。はじめは値引き狙いで加入いただいた方も、次第に運動するようになっていくというわけです。

そのほか、「歩くことが趣味になって、街並みが違って見えるようになった」「歩数が足りないから1駅前から歩いている」「自分の行動を意識するようになった」などと、前向きで積極的な声が多く届いています。

また、ご夫婦で加入された方は夫婦間での会話が増えたり、アプリの使い方を通じてお孫さんとのコミュニケーションにつながったりといった、副次的なメリットも聞こえてきています。

 

 

開発の想いを語るVitality戦略部 北村英之氏

 

 

―市場導入までの過程で特に苦労したことがあれば、教えてください。

まず「Vitality」は健康を応援する商品ですが、どうやったら応援できるのか?という知見がありませんでした。そこに行動経済学の様々な理論や要素を組み込んで商品にしていくことに苦労しました。さらに、健康度に応じて保険料を変えるという新しい仕組みについても、それをどう実現するか、どう販売していくべきかといった部分で試行錯誤しました。

そんな中で、ディスカバリー社の存在はやはり大きかったです。同社は保険会社というよりも健康応援会社のようなもので、有用な仕組みや考えを持っていました。日本でも独自に開発できないかとも考えたのですが、既にノウハウとデータを持っているディスカバリー社と連携して解決していくことに決めました。

ディスカバリー社は1国1社と提携するという海外戦略を取っています。我々は企業理念や「Vitalityを日本に広めたい」という想いが一致して独占契約に至りました。

生活習慣や社会的な背景は国によって大きく異なります。日本ほど社会保険制度がしっかりしている国はほかになく、平均寿命は世界でもトップクラスです。一方、南アフリカは平均寿命が60歳代。生活習慣、日々の行動も全く違います。

「Vitality」を日本人向けにしていくという作業は手探りで、当社だけでなく、ディカバリー社や様々な研究機関などと共に進めていきました。経営陣やメンバーが強い想いを持っていたので、様々な課題があっても、やると決めたら一丸となり、みんなで完成を目指す体制が整っていました。現在、Vitality戦略部には約60名、大阪を入れると約100名のメンバーがいます。

 

―パートナー企業や業界での反応はいかがでしたか?

現在のパートナー企業として特典(リワード)を提供いただいている11社は、「Vitality」の「お客さまの健康を応援する」という理念に賛同してくださった皆さまです。いずれも今までほかのサービスで出したことがないような割引や価格をご提供いただいています。

「Vitality」は1年間の累計ポイントによって判定されるステータスに応じて保険料が変動する仕組みですが、「1年間頑張って!」と言われても人はなかなか頑張ることが難しいため、短期的な目標を設定するサブプログラムも設けています。

例えば「アクティブチャレンジ」では1週間の運動目標をゲーム感覚でクリアすると、ローソンのコーヒーやスムージー、スターバックスのドリンクチケットなどをもらえるような仕組みにしています。

「アクティブチャレンジApple Watch」では、「Vitality」を通じてApple Watchを購入し、月間目標を達成すると電子マネーギフトなどに交換できる「Vitalityコイン」を毎月最大1,000円分受け取ることができます。

既に生命保険業界の中でも健康基軸の商品はいくつかありますが、「Vitality」はどうしたらお客さまに健康のことを考えていただけるかを本気で突き詰めた商品です。健康診断の結果だけではなく、そこに至るプロセスが大事だという考えのもと、少々「おせっかい」とも言えるような保険商品にしています。

 

―社内でも健康や運動に関する動きはありますか?

健康経営に力を入れており、実施しているプロジェクトがいろいろあります。特に、「日本の健康寿命の延伸」という社会的課題の解決を目指して、お客さま、社会、会社・職員が共有価値を創造する3つの取り組みを「CSVプロジェクト」と位置づけ、推進しています。

①お客さまへの「Vitality」の提供

②社会全体への健康増進の働きかけ

③職員とその家族が健康になる「健康経営」の推進

 

社内ウォーキングイベントへの参加促進や、最近では体組成計を10,000台ほど準備して社員の健康的な生活習慣(体重や食事の管理、歩数など)を競うような対抗戦も行なってもいます。スニーカー通勤もだいぶ定着してきました。

私自身、会社のある築地から東京駅まで、日々意識して歩いています。だいたい毎日10,000~12,000歩になりますね。

そのほか社会貢献事業の「スミセイ“Vitality Action”」では、運動を始めていただくきっかけづくりとして、様々な種目のトップアスリートによる「親子スポーツイベント」や、「RUNイベント」などを全国各地で開催しています。

 

 

北村氏の手首にはウェアラブルデバイスが。

 

―今後の課題・展望を教えてください。

「Vitality」はいろいろな方面から広げて、進化させていくことができると思っています。ポイント対象とする健康増進活動や特典(リワード)のラインナップ、住友生命のサポート体制、アプリ機能、販売手法などを、最新の研究結果やお客さまからのご意見を踏まえてレベルアップさせていく必要があります。それぞれをバランスよくレベルアップさせていくことが重要だと考えています。

「Vitality」を通して歩数や血圧以外に、血糖値とBMI、尿たんぱく、コレステロールのデータも得られますので、それらの情報も継続的に分析していきます。健康を阻害する要因としては、もちろん望ましくない睡眠や食事の習慣といった要素も挙げられますが、測定技術や健康増進との関連性は慎重に確認しなければいけません。

もし保険の加入や見直しを検討されているのであれば、「Vitality」は初年度から15%割り引かれるのでお得なんです。さらに自分の健康だけでなく、経済全体の活性化にもつながってきます。運動が習慣化され、家族とのコミュニケーションも活発になって、84%のお客さまが「生活の質が高まったように感じる」といった満足度を実現できるのは、日々の健康的なライフスタイルを評価する「Vitality」だからこそ成せる業であると思っています。

 

―ありがとうございました。

 

 

(インタビューを終えて)

従来の保険商品の概念を超えて、実際の生活習慣や健康状態にもポジティブな影響をもたらしてくれる「Vitality」。行動経済学の考え方も取り入れた、加入者が自発的に無理なく健康増進に向き合える仕組みづくりに感嘆しました。今後のサービス拡充や加入者の広がりに期待が膨らみます。

 

【参考】

『住友生命「Vitality」ホームページ』 http://vitality.sumitomolife.co.jp/

 

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