第十回:環境対策とその戦略的活用法


 

 

 ソーシャルプロダクツ普及推進協会では、7月23日、「環境対策とその戦略的活用法」と題した第十回定例セミナーを開催しました。

 

講演1

「積水ハウスグループのCSRと環境戦略」

積水ハウス株式会社コーポレートコミュニケーション部CSR室長

広瀬雄樹氏

 

 積水ハウス積水ハウスグループは、2005年にサステイナブル宣言というものを発表しました。これは「積水ハウスはお客様にご満足いただける住まいの提供を通じて持続可能な社会の構築に寄与するとともに、その社会の中で暮らしの提供をリードし続ける住環境創造企業を目指します」というものです。積水ハウスのCSRは、この宣言以来、4つの価値(住まい手価値、社会価値、経済価値、環境価値)と13の指針(永続性、快適さ、豊かさ、共存共栄など)のバランスに配慮して進めて参りました。そして2008年には、住宅業界で初めて、環境大臣よりエコ・ファースト企業として認定されました。エコ・ファースト企業とは、環境対策のトップランナー企業が環境大臣に対して環境に関する取り組みを約束するというもので、認定企業は現在40社あります。

 

 ここで、地球温暖化の防止と取り組みの背景、戦略的意義についてご説明します。各種調査によると、消費者の約8割、投資家の約7割が商品やサービスの購入時にCSRの取り組みを考慮していること、同じく約7割の消費者がCSR活動の積極的情報発信を期待していることがわかっていました。しかし、その一方で、環境問題が重要だとは思いながらも実際は何も行動していない層は約7割、地球温暖化防止について、「お金がかからなければ」「面倒でなければ」何かしたいという消極派が半数以上を占めていました。このことから我々は、「お客様にとって快適で面倒がかからず、お金もかからない」ことを提供していくことがCSR的にも、戦略的にも重要だと考えました。

 積水ハウスの「グリーンファーストモデル」は快適な暮らしとCO2排出量50%削減を両立した住まいのモデルです。その後、より快適でより環境に配慮したグリーンファーストZEROをスタートさせました。グリーンファーストは進化を続けており、ハイグレード断熱仕様、LED照明、ソーラー発電と燃料電池によるW発電といったお客様のメリットと地球環境への配慮を追求したゼロエネルギーハウスという住宅も積極的に推進しています。実際に省エネと創エネで、エネルギー収支ゼロを実現する住宅「グリーンファースト ZERO」の受注比率は全体の5割を超える勢いとなっています。

 そのほか、生物多様性の保全のための「5本の樹」計画(鳥や蝶が喜ぶ地域の自生種、在来種の樹木を植えることをご提案する庭づくり)、「いきもの調査」、適性に管理された森林から産出されていることが認証された木材の購入、資源の有効活用・再利用などについて、独自のプログラムを行っています。これらも中長期的にみた弊社の商品価値向上のための取り組みです。

 

 積水ハウスは企業理念を「人間愛」としています。、これからも根本哲学である人間愛をベースに、真実・信頼を基本姿勢に、人間性豊かな住まいと環境の創造を目指して、住文化の向上、次世代育成、環境配慮の3つ社会貢献活動を続けて参ります。

 

 

講演2

「エシカルブランドが担う次世代の可能性」

MODECO代表

水野浩行氏

 

モデコ MODECOは「産廃を新しい価値に」というコンセプトによってつくられたアップサイクル・ブランドです。さまざまな製造工場で発生する「端材」や「規格外の素材」など未使用のまま破棄される運命にある素材を有効活用して、バッグを製造しています。扱っているのは、自動車のシートベルト、消防服、フローリング材などです。これらはもともとバッグをつくるための素材ではないので、固かったり重かったりと、製造する上で大変な点もたくさんあります。扱いやすい素材1種に絞ってバッグをつくればとても効率的なのですが、あらゆる廃材を扱うことをコンセプトに、捨てられるはずだった素材をバッグとして生まれ変わらせています。モノは循環していくことがあるべき姿と思いますので、循環から外れてしまったものを、循環サイクルに載せていくことが我々の使命です。

 大量消費社会は素早く発展し、優れたサービスがうまれる一方で、環境破壊、人的搾取、資源枯渇などを引き起こします。これに対し、循環型社会は、サービス向上のスピードは緩やかでありながら、他者や環境との共存可能な状態を作ることができるのです。

 

 MODECOは「従来のプロダクトとはまったく別の新しい選択肢=新しい“いいもの”になること」、「変化する社会問題に対応しながら進化するデザインを生むこと」、「知性と品性を兼ね備えたステータスを持つこと」、「世界が共感する思想を持ち、時間を越える価値を持つこと」を目指しています。新しい“いいもの”になるためには、現代のあらゆるものが出尽くした市場に対して、エシカル、スローファッションといった新しい価値・概念をいかに打ち出していくかが課題です。

 ファッションの歴史を紐解けば、一人に対して最高級のものを提供するオートクチュール、プレタポルテの時代から、多数の人のニーズに一度に応えるファストファッションのブームを経て、次にやってくるのはエシカル、スローファッションの時代だと思います。こうした新しい時代に、どれだけの普遍的な価値を作れるか―これを考えていかなければなりません。利他的になるあまり消費者のニーズを無視してしまうエシカルファッションブランドが少なくありませんが、これでは普遍的な価値をつくれません。私たちは、まず、最高の製品を作り、その次に環境のことを考えるという順序で行きたいと思っています。

 

 MODECOのブランドだけで、世界中の廃材をすべて使い切ることは不可能です。バッグのブランドとして、環境問題を解決するというより、廃材を使ったバッグが、一つの啓発・きかっけになればよいと思っています。バッグというものは、持つ人の知性や品性が表れるアイテムです。男性にとって、自分のステータスを表す持ち物は、人によって車かもしれないし、腕時計かもしれません。女性の場合はバッグがそのような存在なのではないかと思います。MODECOはそれを持つ女性が、知性と品性を備えた女性であると見られるようなブランドでありたいと思っています。

 MODECOは現在、国内のみならず、海外にも拠点を置き、グローバルブランドとして展開し始めています。これからも、「世界が共感する思想を持ち、時間を越えた変わらぬ価値を持つこと」をコンセプトに、事業を拡大させていくつもりです。