ソーシャルプロダクツ・インタビュー<br>―株式会社7garden―

2018/09/25

ソーシャルプロダクツ・インタビュー
―株式会社7garden―

2018年8月、東京・東神田にオープンしたホステルKIKKA(キッカ)。サスティナブルをテーマに掲げ、宿泊や食事を通して寄付ができる、新しい宿泊施設です。

KIKKAで特定のドリンクやおにぎりセットを購入すると、料金の一部がアフリカの子供達の給食費として寄付される仕組みになっており、他にも客室のシーツやタオルを交換しない、使い捨てアメニティを使用しない、といったエコな選択によっても寄付ができます。

KIKKAは、不動産テック企業であるイタンジ株式会社、ホステル運営を手がける株式会社7garden、食糧問題に取り組むNPO法人TABLE FOR TWO Internationalという異業種の3社が手を組んで誕生しました。KIKKAオープンに至るまでの経緯や取組みへの思いなどについて、KIKKAの実質的な運営を担っている、株式会社7garden事業部長の須賀裕子様にお話を伺いました。

―まずは、KIKKA立ち上げのきっかけを教えてください。

最初はイタンジさんからホテルを開業したいとお話を頂いたのがきっかけでした。弊社も海外旅行客の増加を見据えて新たなホテルの開発を検討していたので手を組んでホテル開発に着手しました。KIKKAの建物は元々雑居ビルだったのですが、東神田というオフィス街に位置し東京駅も近いことから、出張のサラリーマンや単身の外国人観光客が利用しやすいようにドミトリーを中心にリノベーションをしました。

―寄付の仕組みは初めから考えていたのですか?

実は最初から寄付を想定していた訳ではありませんでした。元々「良いものを取り入れて提供したい」という思いでコンテンツを考えていて、カフェスペースでフェアトレードコーヒーや環境に配慮して作られたビールを提供することが先に決まり、その延長でサスティナブルな取組みとして寄付の案が出ました。

ただ私達には寄付先のコネクションもなく、どう寄付活動へ取り組んだら良いものか悩んでいたのですが、食糧問題への取組みで有名なNPO法人TABLE FOR TWO Internationalチーフ・マーケティング・オフィサーの大宮さんと弊社代表の北野が偶然にも地元福井の同級生だったということが分かり、それがご縁でTABLE FOR TWOに協力を依頼することになりました。TABLE FOR TWOでは、対象となる食品や定食を購入すると、1食につき20円の寄付金が開発途上国の子供達の給食になるプログラムを運営しています。20円というのは開発途上国の給食1食分の金額。つまり、先進国で1食取るごとに開発途上国に1食が送られることになります。

このプログラムをKIKKAにも取り入れ、カフェやバーで特定のメニューを注文すると、1メニューにつき20円がTABLE FOR TWOを通じて給食費として寄付される仕組みにしました。他にも、環境負荷の軽減につながる、客室のシーツやタオルの交換をしない、使い捨てアメニティを使わない、といった選択も寄付の対象になっています(希望する場合は有料で利用できます)。また、イベントによるスペース利用でも寄付ができます。

―他にも、社会貢献に結びつく仕組みが色々とあるそうですね。

そうですね、例えばカフェで提供しているコーヒーは、lohasbeanscoffee(ロハスビーンズコーヒー)のフェアトレードコーヒーを採用しています。コロンビアの契約農家からフェアトレードを行って作られており、独特の酸味を含んだ美味しさが特徴です。実は弊社オフィス(南青山)近くにショップがあり、社内でもファンが多かったのがきっかけで採用へと至りました。KIKKAではlohasbeanscoffeeとコラボレーションしたオリジナルのスペシャリティコーヒーを提供しています。

バーで扱うビールは徳島県上勝町で作られているクラフトビールを採用しています。このビールは廃棄物をリサイクルしてつくられた工場で製造しており、ボトルも繰り返し利用できるものを使っています。さらに、上勝町は町全体でゴミゼロを目指すゼロ・ウェイスト政策を行っていて、そういった取組み全体に共感し提供させていただくことになりました。

―寄付をメインとして、社会に良い働きかけができるモノ・コトが散りばめられているホステルですね。

どういう思いを込めて仕組みを作られたのですか?

ホテル名である「KIKKA」は「きっかけ」を語源としています。「きっかけを創造するホステル」をコンセプトに掲げ、「宿泊や食事をきっかけとして、無理なく自然な形でサスティナブル(持続可能)な貢献をできるようにしたい」という思いを込めています。

寄付は日本ではなかなか根付きにくいところがあります。寄付の仕組みが見えにくかったり、寄付金が然るべき所に届いているか分かりづらかったりするのが原因の一つです。その点、KIKKAでは「ホテル内での飲食やサービスの選択が寄付に繋がる」と仕組みをシンプルにしていますし、TABLE FOR TWOの寄付プログラムも「1食につき20円」「寄付金の用途は途上国の給食費」と目的がはっきりしているので、分かりやすくそして納得してご利用いただけるのではないかと思っています。

そしてもう一つこだわった点が「無理なく自然な形で」貢献できることです。「よし、寄付するぞ、貢献するぞ」と意識して身構えるのではなく、行動の中に自然に寄付が溶け込んでいる仕組みを作りたいという思いがありました。ビジネスや旅行で東京を訪れ、KIKKAに泊まったのをきっかけに、楽しくステイして自然に寄付もできる。そしてまた東京に行った際はKIKKAを利用したい、と思ってくだされば幸いです。

―オープンして約2ヶ月ですが、利用された方の感想はいかがですか?また、宿泊以外の方も利用できるのですか?

新しいコンセプトのホステルとしてご好評いただいています。お客様は外国の方が6割と多いのですが、寄付や社会貢献の文化が自国で根付いている方が多く、日本でもこういった仕組みがあるのは素晴らしいとお褒めの言葉をいただきました。また、ホテル業界の方もお越しくださり、業界内でもまだ珍しい取組みであることを改めて実感しました。

宿泊以外の方も、もちろんご利用いただけます。1Fのカフェは開放しているので、お昼時は東神田周辺のビジネスマンがランチにいらっしゃいます。ちょっとコーヒーで一休み、として使っていただいても大丈夫です。ランチやカフェだけのご利用でも、特定のメニューであれば寄付できる仕組みは変わらないので、是非お気軽にお越しいただきたいです。

また、夜は地下のバーがご利用いただけます。お住まいや職場が近所という方もよくいらしていて、色々な国籍の宿泊客の皆様と交流を楽しんでいただいています。バーの利用をきっかけに様々な出会いが生まれるのもKIKKAの魅力の一つです。

―気軽に利用して寄付もできるのは良いですね。最後に、今後の展望をお聞かせ下さい。

寄付の他にも気軽に社会貢献ができる仕組みを増やしていきたいと思っています。現在、1階カフェスペースの一角に物販コーナーを設けており、「SALASUSU(サラスースー)」というカンボジア発の女性支援の仕組みを取り入れたブランドを展開しています。バッグや雑貨を販売していますが、今後アイテム数などを増やして更に充実させ、多くの方に購入していただくことでカンボジアの女性支援も続けていきたいと思います。

KIKKAは2018年8月にオープンしたばかりでまだ色々と手探りな部分もありますが、新しい形のサスティナブルホステルとして根付き、国内外問わず多くの方に、無理なく自然な形での社会貢献を発信していきたいと考えています。

―ありがとうございました。

 

◆KIKKA https://seven-garden.com/ja/hotel/KIKKA

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