折り鶴リサイクル丸扇子「FANO(ファーノ)」<br>―株式会社カミーノ―

2021/04/19

折り鶴リサイクル丸扇子「FANO(ファーノ)」
―株式会社カミーノ―

原爆ドームのある広島市には、今でも毎年1,000万羽もの折り鶴が世界中から贈られています。しかし増え続ける折り鶴の保管場所の確保に課題がありました。何かしらの形で折り鶴に込められた平和への思いを昇華できないか。 広島市のイニシアティブにより始められたその取り組みに賛同したのが株式会社カミーノです。
今回は株式会社カミーノでマーケティングディレクターを務める、鍵本 政彦 様(以下敬称略)に同社設立の背景や折り鶴リサイクル丸扇子 「FANO(ファーノ)」についてお話を伺いました。

※「FANO」はソーシャルプロダクツ・アワード2021自由テーマ部門にてソーシャルプロダクツ賞を受賞しました。(https://www.apsp.or.jp/product/spa2021_028/

株式会社カミーノ マーケティングディレクター 鍵本政彦様

 

 

+αのリサイクル商品


野口:「FANO」を開発 することになったきっかけについてお伺いしたいです。

鍵本:まず 代表の深澤が株式会社日誠産業の海外 WEB マーケティングのコンサルティングをしていたことから、リサイクルビジネスにはデザインやマーケティングの発想が今後重要になるという考えで一致したことから、その戦略を担う株式会社カミーノを設立しました。そのタイミングで広島の折り鶴の案件があったことから、その発想と同じ戦略を採用し「FANO」を開発しました。

野口:そのような背景があったのですね。「FANO」の製作はどのように進んだのですか?

 

FANOの原型はジャポニズムだった


鍵本:プロデューサーの田辺三千代が 2014 年にフランスのアヴィニヨンに行く機会 があり、そこでたまたま 見つけたのが、約100年前のツール・ド・フランスの大会時に観客やスポンサー等に配られたと思われる丸い扇でした。 ちょうど 1900 年頃のフランス絵画の印象派画家たちが日本の浮世絵からインスピレーションを受けた時代に、 日本のデザインが海外で評価されて、プロダクトとして世界的に有名なイベントで使われている。これがまさに私たちが目指しているものだと思いました。 この出会いがきっかけで、円型の扇を作ろうと決めたわけです。
続いて使われている折り鶴に関しては 、まずリサイクルしようと言っても、どうしても紙質がばらばらだったり、ホチキスなど不純物が含まれたりすることがありました。日誠産業には事前の仕分けをしなくても不純物を取り除ける技術があり、実現に至りました。


ソーシャルの根本には「平和」がある


野口:今回ソーシャルプロダクツ・アワード2021「ソーシャルプロダクツ賞」を受賞されましたが、鍵本様の視点から「 FANO 」のソーシャルな点をお聞かせください。


鍵本:根本にあるのは「平和」です。もう一つが 「資源の循環」。「平和」というとあまり全面的には出しにくいこともありますが、社会性やデザイン、生活の豊かさの一番根本には「平和」があると考えています。だからこそ、「FANO」は最もソーシャルの根本に触れていると思います。

 

折り鶴を粉砕して型に入れて固めたもの。折り鶴ならではのカラフルな色合いが見える。


野口:「FANO 」を製作するうえで苦労した点をお伺いしたいです。


鍵本:型を一から作るという点では苦労しました 。素材に関して、折り鶴だけでは 正直、質の低い紙にしかなりません。一方で日誠産業が力を入れている牛乳パック古紙はフィルムを取ればとても優秀な古紙なんです。折り鶴のリサイクルなのでどれだけ折り鶴を入れられるかが大切で、一番バランスの取れる牛乳パック古紙70% 、折り鶴 30%の配合に決まりました。「FANO」一つあたりに折り鶴はおおよそ 0.5~1羽分が使用されています。


野口:いただいたお名刺もよく見てみると折り鶴ならではの様々な色合いが見られますね。折り鶴を配合させたからこその特有の質感を感じます。


鍵本:持ち手の木の部分は、徳島産の檜の間伐材を使っています。当初は吉野の檜の間伐材を使用していました。吉野というと杉が有名ですが、割れやすいため薄くできない。そこで強度もあり、薄くできる檜の間伐材を利用しました。さらに、需要の多い夏場に向けて量産できるよう、安定的な供給ができるパートナーを探すのにも苦労しました。現在は、印刷は神戸の会社、組み立ては徳島の会社で行っています。印刷の時も扇の性質上、広げた時に文字のゆがみが生じやすいんです。そこで、扇を広げた時にズレがないような印刷システムも作りました。扇の中心に向かうほど、アナログで微調整も重ねていきました。

 

 

商品に興味を持ってもらうためにデザインファーストであり続ける

野口:円型の扇は珍しいですね。


鍵本普通の扇子や団扇の形だと折り鶴を使っていても気づいてもらえません。「FANO」は、広げる時にちょっと大げさな動きがありますよね。「FANO」を使うとき他の人が興味を持ち、話すきっかけが生まれるんです。そこから初めて折り鶴の話につながります。最初にお話した、デザインが重要というのは、商品自体に注目、興味を持ってくれないとストーリーを語るきっかけが生まれないと思うからです。「FANO」を持った人が平和について考えるきっかけになればいいし、海外で「FANO」を手にとった方が、昔広島に折り鶴を贈ったことを思い出してくれれば、とても素敵なストーリーが生まれると思います。そのような思いをデザインに託しています。

野口:とてもストーリー性がありますね。


鍵本:もっと宣伝していかないといけないのですが、 全面的に「平和」は出さないようにしています。この商品を見て、何だろうと思って検索する。そのアクションの方が 、よっぽどその人にとってインパクトをもって心に残ると思うんです。だからこそ デザインファーストであり続けたいと思っています。


野口:デザインに力を入れているということで、「FANO ART Ver.(ファーノ アートバージョン)」を手掛ける古武家健太郎さんや 、「FANO HERALBONY Ver.(ファーノ ヘラルボニーバージョン)」 を手掛けるHERALBONY(株式会社ヘラルボニー)とはどのような接点があったのでしょうか。

鍵本:前出の田辺が古武家さんと接点がありました。「ART Ver.」を始めようと思ったきっかけは、最初に製作した「FANO PEACE Ver」 の他に自分たちで販売をしていくうえで変化が必要だと考えたこと、そして「PEACE 」というシンプルなメッセージ性だけではなく、ファッションやアートが持つ力を使いたいというところから生まれました。そこで自分たちの接点のある素敵なアーティストやデザイナーたちに声をかけました。HERALBONYさんについては私自身の前職の繋がりで関わりがありました。社会性もありますが、なによりHERALBONYの持つ突出したデザイン性やパワーへの敬意から、自然な流れでコラボが実現したと思います。

野口:お客様の評判などはいかがでしょうか。

鍵本:私自身実際に店頭に立って接客をした中ですと、感動してくださるお客様が多い印象を受けます。昨年は難しかったですが、例年8月はいろいろな国や地域から広島にお越しになるので、プレゼントやヨーロッパなど海外の方へのお土産としても購入される方も多いです。

 

大量配布の団扇とは違うからこそ、ずっと使ってもらえるものを

野口:「FANO 」の今後の展望についてお伺いしたいです。


鍵本企業デザインやノベルティを増やしていきたいです。大量配布の団扇とは単価が違うので、長く使ってもらうもの、冬でも飾っておきたいものとして「FANO」を使ってもらいたいです。 その 「FANO」がもつメッセージに共感してくれる企業やイベントが増えれば、より多くの人に平和の思いが共有されていくと考えています。

野口:本日は貴重なお話をありがとうございました。

 

[取材を終えて]
デザインへの深いこだわりや「FANO」に込められた 平和に対するストーリー性。今回の取材ではその熱量を感じたとともに、ソーシャルプロダクツとは何かを考える上でとても有意義なお話をいただきました。今年の夏は 「FANO」を持って出かけてみると平和の輪が広がるかもしれません。

 

[プロフィール]
環境問題に幅広く関心があり、大学では環境経済学を専攻、部活では環境国際団体Decoに所属。現在はAPSPでインターン活動として記事作成などに取り組む。

 

株式会社日誠産業:http://www.nissey.net/

株式会社カミーノ:https://ca-mi-no.jp/

株式会社ヘラルボニー:https://www.heralbony.jp/

この企業について

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