ソーシャルプロダクツ・インタビュー<br>―株式会社フルッタフルッタ―

2020/08/13

ソーシャルプロダクツ・インタビュー
―株式会社フルッタフルッタ―

ブラジル・アマゾン産のアサイーというフルーツをご存知ですか。その美味しさと高い栄養価から「スーパーフード」と呼ばれ、近年日本でも注目を集めています。今回、このアサイーをはじめとするアマゾン産のフルーツの取り扱いを通じて、アマゾンの森林再生に取り組む、株式会社フルッタフルッタをご紹介します。広報ご担当の松田様にお話を伺いました。

 

―御社の事業内容を教えてください。

アサイーを中心に、グアバやアセロラなどのアマゾン産のフルーツ原料を輸入し、自社で製品の開発・販売を手掛けているほか、食品メーカーや外食産業へ卸したりしています。また、アンテナショップも運営しています。

ちなみに当社で取り扱うアマゾンフルーツは、おもに「アグロフォレストリー」という農法で作られた作物です。アグロフォレストリーとは、農業と林業を同じ農地で行い、荒廃地を森林として再生させる仕組みです。当社は、アグロフォレストリーで栽培されたフルーツの消費拡大を手掛けることで、アマゾンの荒廃地を森林に再生する原動力になりたいと考えています。

 

従来の農法とアグロフォレストリー農法の違い(フルッタフルッタHPより引用)

 

―この事業を始められた経緯を教えてください。

当社の代表である長澤が、たまたま訪れたブラジルでアグロフォレストリーに出会ったことが始まりでした。ブラジルのパラ州トメアスという地区には、ブラジルに移住した日系人組合員が作った農協CAMTA(トメアス総合農業協同組合)があります。そこでは、アグロフォレストリーで様々な農作物が栽培されていました。当時、アグロフォレストリーのことを知った長澤は、この農法で作られた農作物の消費が増えれば、もっと同農法による農地を増やすことができ、森林再生に貢献できるのではと考えました。そこで、アグロフォレストリーを通じて自然の良い循環を作り出すことを目標に、2002年に創業しました。

設立と同時に、日本におけるCAMTAの独占代理店としての契約を結び、日本国内でのアマゾン産フルーツのマーケットを作ることに着手しました。

CAMTA組合員とアグロフォレストリー農園

 

―日本で、アサイーを中心としたアマゾン産フルーツのマーケットを作る上で、どのようなお取り組みをされてきたのでしょうか。

会社設立当初にまず手掛けたのが、アサイー等のアマゾン産フルーツを使ったジュースを販売する、ジュースバーの運営でした。長澤自らが店頭に立ち、アマゾン産フルーツの美味しさ・栄養価を生活者に知ってもらい、さらにはアグロフォレストリーについても認知を広めようとしました。順次出店を増やして、原料の消費を拡大すれば、森林の再生につながるというシナリオでした。

しかし、見知らぬアマゾン産のフルーツをお客様に受け入れていただくことは、容易ではありませんでした。この方法に限界を感じていた頃、ちょうど、アサイーの原料卸しの話が舞い込んできました。そこで、まずは多くのメーカーや飲食店に原料として卸し、多くの商品を世の中に送り出してもらうことで、認知を広めていくという方法に舵を切りました。

この方法が功を奏し、アサイーの認知は年々広まっていきました。2006年には、小売商品の自社開発・販売を開始し、徐々に需要が高まり、2018年に改訂された広辞苑に「アサイー」が新語として掲載されるまで一般化しました。

 

アサイープレスシリーズ

 

―アサイーの商品としての基礎価値や背景にある社会性を、生活者にどのようにコミュニケーションしているのかについて教えてください。

まずは、アサイーの「美味しさ」と、美容や健康に良いとされる「栄養価」をお客様にお伝えするようにしています。商品パッケージや販促物では、美味しくて、美容・健康に良いということや、ブランド価値を感じていただけるようなデザイン性を重視しています。

お客様には最初に「自分のメリットになること」をお伝えしないと、関心すら持っていただけないことが多いため、パッケージにわかり易く表示する必要があります。商品自体がお客様に満足していただけるクオリティであることも重要で、その上で、気に入って継続していただければ、アサイーの消費拡大につながります。 商品としての基礎価値に共感いただいた後で、アグロフォレストリーや日系移民の農業組合などの社会的側面をお伝えすると、もともとアサイーを愛用いただいているお客様から「このような取り組みを知って、もっと好きになった」というお声をいただくこともあります。

 

―アサイーの認知も広がってきたと思いますが、それに伴って消費も拡大してきているのでしょうか?また、生産地に何か変化はありますか?

会社を設立した2002年、我々が仕入れたアサイーはコンテナ1つ分(約25t)でした。アサイーの認知が広がるにつれて消費量も拡大し、2012年には約1000tのアサイーを輸入するまでになりました。アサイーの美容・健康に良いという特徴から、多くのモデルやアスリートにも愛用いただき、その影響もあって、2012年から2013年にかけては、特にマーケットが急伸していきました。代表の長澤は設立当初より「ブームは生産現場に混乱を来す」という想いでいたので弊社が目立ったプロモーションをしたわけではありません。ハワイブームや朝食ブームに後押しされてファッション性でブームが起きました。その後はブームが落ち着きましたが、アサイーの本当の良さを知った健康志向の方やアスリートは継続的に利用を続け、定着しています。

当社が取り扱うアサイーの量が増えるとともに、現地の様子にも少しずつ変化が見られるようになってきました。トメアスの町は、人口が増え、商店等の施設も増えています。また、アグロフォレストリー農家の現金収入が増えたことで、自分で土地を買い増して農地を広げたり、学校にすら行けていなかった農家の子どもが、大学に進学できるようになったり―アサイーの消費拡大が、森林の再生だけでなく、現地の人々の暮らしをより良い方向に変えてきていると思います。

 

アサイーエナジーバー(渋谷ヒカリエ)

 

―最近の取り組みについて教えてください。

先にお話した通り、アサイーの一時的なブームは去り、おしゃれ感覚でアサイーを摂取していた消費者が離れていきました。その一方で本当にアサイーの価値がわかっている人達は10年以上もアサイーを継続的に摂取されており、弊社ではその様な根強いファンを増やしていこうと機能性研究に着手するようになりました。研究のきっかけとなったのは、「アサイーで貧血が改善した」「ヘモグロビン値が上がった」などの声がアスリートや貧血にお困りの方から寄せられていたことでした。ですが元々アサイーは鉄を豊富に含むフルーツではありますが、レバーのように突出して多くはなく、動物性より比較的吸収効率が低い植物性の「非ヘム鉄」です。そこで、このメカニズムを解明するべく千葉大学との共同研究がはじまり、マウス実験でアサイーに造血機能性があることが明らかとなりました。そして2019年夏より、血をつくることがスポーツ貧血やパフォーマンス向上をサポートするという文脈で「アサイーでみなぎるプロジェクト」を展開しています。この活動をはじめて1年が経ちましたが、アサイーの価値が再認識されたり、新たに関心を持っていただけたりなど手ごたえを感じています。アサイーの造血機能性に共感された編集者さんが書籍化を提案してくださり、「アサイーの食事術」という本も出版されました。アサイーでHAPPYになる人を一人でも多く増やしたいという想いで活動していますが、その様な方々がアグロフォレストリーのことを知り、応援したいという気持ちになっていただけたらとても嬉しいです。

 

(当記事は2013年10月に発行された当協会ニュースレターにて紹介したものを、2020年8月現在の情報に改めた記事となっております。)

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