APSPインターン座談会 <br>―ソーシャルプロダクツを生活の一部に。ライフスタイルを起点に社会的課題を自分ごと化―

2021/03/22

APSPインターン座談会
―ソーシャルプロダクツを生活の一部に。ライフスタイルを起点に社会的課題を自分ごと化―

お気に入りのソーシャルプロダクツは?普段の買い物では何を重視する?SDGsにもう1つ目標を追加するとしたら?

日常生活でのソーシャルプロダクツの取り入れ方や、生活者が社会的課題を自分ごと化するためのアイデアなどをテーマに、APSPインターン生が座談会をしました。

 

日常生活の一部として、ソーシャルプロダクツを楽しむ

樋口:APSPでのインターンを通して、様々なソーシャルプロダクツにふれている皆さん。まずは、お気に入りのソーシャルプロダクツについて教えてください!

中村: APSPでインターンを始めてからオーガニック商品を意識するようになったのですが、do organicの「オーガニックコットンパフ」が最近のお気に入りです。今まで使っていたコットンパフと手触りが全然違ってすごく柔らかいので、肌が弱い私も安心して使えています!製造工程でも漂白などの化学的処理は一切行っていないそうで、環境負荷が少ないところも良いと思いました!

高橋:私のおすすめは、THE BODY SHOPの「ボディヨーグルト ピンクグレープフルーツ」です。全身の保湿ができる上に、ピンクグレープフルーツの香りがとてもさわやかで、自分へのご褒美として愛用しています!また、開発段階で動物実験をしていないなど、独自のフェアトレードプログラムを行っているブランドの姿勢にも共感しています。

吉井:ベトナムの手刺繍職人の方が作っているTIBIDABOというブランドのバッグを中学生の頃から10年ほど愛用しています!バッグや洋服は長く使えて、自分の生活の中で身近な存在に感じられるところがいいですよね。TIBIDABOは「ベトナムの高い技術をご理解していただくと同時に、ベトナムの暮らしが少しでも向上できれば」という想いで商品を作られているそうです。

石原:私が継続して購入しているのは、フェアトレード専門ブランドのPeople Tree(ピープルツリー)の商品です。オーガニックコットンで作られた洋服はとても着心地がいいですし、アイテムやデザインも様々なので、シーズンごとにチェックしています!それと、チョコレートは美味しくてパッケージもかわいいので、ちょっとしたプレゼントにもおすすめです。

樋口:皆さん、品質や使用感に納得できて、商品背景や社会的取り組みにも共感できるソーシャルプロダクツを見つけ、日常生活の一部として楽しんでいるんですね!

ソーシャルプロダクツ・アワード2017 大賞 People Treeフェアトレード・チョコレート

 

ソーシャルプロダクツはギフトにもおすすめ。社会性が購入の決め手に

樋口:普段からソーシャルプロダクツを取り入れている皆さんですが、買い物をする時にその商品の社会性(人や地球にやさしいか)をどのくらい重視しますか?

中村:買い物の際、最初に気にするのは商品性(機能やデザインなど)です。ただ、同じような商品が並んでいる中に社会性のあるソーシャルプロダクツがあったら、そちらを選ぶことが多いですね。

石原:うんうん。その商品が持っている社会性が、購入の決め手になることが私もあります。何か欲しいものがある時は、まずソーシャルプロダクツを扱うお店やECショップで探してみたりするのですが、商品性に満足できてその社会性にも共感ができるソーシャルプロダクツを見つけられたときは嬉しくなります!

吉井:私も社会性は重視しますが、普段使っているもの全てがソーシャルプロダクツという訳ではありません「ソーシャルプロダクツだから」という理由で自分の生活に合わない商品を購入して、結局あまり使わなければ意味がないと思うんです。

樋口:確かにそうですね。吉井さんは特に商品選びでどんなことに気を付けていますか?

吉井:買って満足ではなく、本当に必要かということを考えるようにしています。大学生の頃は、フェアトレードのチョコを見つける度に「買わないと!」と使命感にかられて購入していましたが(笑)、お金もかかるし継続性がないですよね。

樋口:なるほど、その商品を自分の生活にどう取り入れるかをイメージしているんですね。高橋さんはどうですか?

高橋:商品のジャンルにもよりますが、私も商品性や値段をまず気にしますね。ただギフトを選ぶ際は、値段よりも商品のストーリーを重視します。通常の商品と比べて値段が高いソーシャルプロダクツも、ギフトとしての購入だと、ハードルが下がります

樋口: 皆さん、商品の社会性が何かしらの形で購入につながっているんですね。しかしながら、購入を通した社会貢献が目的というわけではなく、その先の用途や商品が彩るライフスタイルを求めて、お買い物しているようです。

 

身近なことから社会的課題を自分ごと化するきっかけづくりを。インフルエンサーの存在も鍵

樋口:最近はSDGsに関連した社会的取り組みを目にすることが増えました。ソーシャルプロダクツの購入もSDGs達成につながる行動の1つです。より多くの人が、普段の生活で社会的課題を意識して行動するためには、どんなことが必要だと思いますか?

吉井:SDGs17目標のカラフルなアイコンのように、社会的課題について、人々の目を引く情報は増えてきました。それでもまだ、普段の生活でSDGsを実践するのはハードルが高い、と思っている人はたくさんいる気がします。社会的課題やその解決を、身近なものとして生活に定着させるアプローチが重要だと思います。

高橋:世の中に社会的課題があると知っても、解決に向けた行動を起こすには原動力が必要です。生活している中で感じる不便が、そのきっかけになることもあるんじゃないでしょうか?例えば、大量のゴミを出していても普段の生活に悪影響がなければ、「このままでいいや」と思うでしょうけど、家の周りがゴミだらけになってしまったら、「どうしよう・どうにかしないと」と意識が変わると思うんです。

樋口:身近な不便や悩みを、社会的課題と結び付けてアプローチすることで、解決のための行動を促せるかもしれませんね!

中村:インフルエンサーの影響力も大きいと思います。私の周りでは、タレントのローラさんがプロデュースしているブランドをきっかけに、社会的取り組みに関心を持った友達もいました。またアメリカでは、あるアパレルブランドがワンサイズ展開だったことから、女性の体形のイメージを押し付けているのではないかと批判が起こりました。インフルエンサーがそのブランドの洋服を着なくなったことで、今まで購入していた人々にも、そのブランドを着ると差別に加担してしまうのではないか・着ない方がいいのではといった風潮が広がったんです。このようにインフルエンサーの発信が、多くの人々が社会的課題に関心を持ち行動するきっかけとなり、それが企業のあり方を変える後押しにもなるのではと思います。

 

SDGsの先の未来に向けて。社会的課題へ関心を持ち続け、小さなことから行動を

樋口:SDGsについてもう少し踏み込んで、皆さんと話してみたいと思います。SDGsには現在17の目標がありますが、皆さんがもう1つ目標を追加するとしたら何にしますか?

一同:難しいですね!(笑)

吉井:うーん‥。「みんなが関心を持ち続けること」という目標があってもいいのかなと思います。社会的課題の解決に向け、今だけでなく2030年以降も人々が関心を持ち続けて、小さなことでも行動していくことが大事ではないでしょうか。関心を持ち続けられないと、SDGsが2030年までのお祭りで終わってしまう気がします。

高橋:吉井さんと似ているのですが、「SDGsの考え方を未来に伝えよう」という目標を思いつきました。「目標4:質の高い教育をみんなに」の中に、持続可能な社会について教育をするという主旨の項目がありますが、それが1つの目標になってもいいのではないかと思います。2030年でSDGsが終わるのではなく、その先の未来に向けて、子どもたちへSDGsの考え方を教育していくことが大事ではないでしょうか。

石原:関心を持つことって、最初の一歩としてとても大切ですよね。私も高校の授業でアパレル産業における発展途上国の生産者の課題を知ったことをきっかけに、フェアトレードへ関心を持ちました。そこから、普段の買い物でも商品背景や社会性を意識して買い物をするようになりました。

中村:2030年までの残りの時間で解決できたら良い社会的課題を考えてみましたが、おそらくほとんどが既存の17目標に入っていますよね。なので、2030年以降の未来に向けた目標として、吉井さんや高橋さんがおっしゃっている内容に賛成です!

樋口:近い将来、経済活動の主役となる皆さんが、社会的課題に対する意識や行動を絶やさず、未来に伝えていこうと考えていることが頼もしいです。

本日は、ソーシャルプロダクツを普及推進する上で、とても参考になるご意見の数々、ありがとうございました。

 

【座談会を終えて】 APSP専務理事 中間玖幸

昨今、様々な調査で若者世代の社会的意識の高さが指摘されています。今回の座談会は、まさにそれを体現するものとなりました。インターンの皆さんそれぞれが、日常で社会性(人や地球にやさしいか)の視点を持ちソーシャルプロダクツを無理なく生活に取り入れているさまは、数年後の社会の当たり前を見ているのではないか、そう感じるものでした。ずっと先の未来や世界をとらえている、若者世代の目線。そして、彼らが消費の主役・中心世代になる世界はすぐそこまで来ています。この目線に追いつき、持続可能な社会の実現に向けた行動をとることが出来るか、今多くの企業に問われています。

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