陶磁器製美濃焼ストロー「MYSTRO®(マイストロ)」<br>―株式会社カネス―

2021/05/01

陶磁器製美濃焼ストロー「MYSTRO®(マイストロ)」
―株式会社カネス―

2021年3月9日、プラスチック製の使い捨てストローやフォークに対して有料化するなどの対応を義務付ける新法案が閣議決定されました。この法案が可決されれば、これまで当たり前のようにお店でもらっていたプラスチック製ストローが有料化されることになります。この流れを受け、マイストローを持参する人が増えるかもしれません。そのような世の中に変わっていこうという動きの中で、今回紹介するのは洗って繰り返し使うことができる陶磁器製ストロー「MYSTRO🄬」です。

この商品は美濃焼の技術を活かして作られた高いデザイン性繰り返し使えるためエコであるという点でサステナブルな社会への取り組みに貢献していると評価され、先日発表されたソーシャルプロダクツ・アワード2021で見事、ソーシャルプロダクツ賞を受賞されました。MYSTRO🄬を製作した株式会社カネスは、主に業務用食器の卸売販売を行っていますが、身近な環境問題や紙ストローの弱点を克服したいとの思いから、美濃焼の技術を活かして、当商品の開発へと至りました。

MYSTRO🄬誕生の裏側や美濃焼という地域の特色を活かして行われている取組みについて、当協会のインターン生である山本が、株式会社カネス常務の酒井英臣様(以下敬称略)にお話を伺いました。

株式会社カネス 常務 酒井英臣様

 

MYSTRO🄬の誕生秘話とその裏にあった数々の苦労

 

山本: 数ある環境問題の中でなぜ、海洋プラスチック汚染問題改善に着目したのですか?また、ストローの開発に至った背景を教えていただけますか?

酒井: 特に海洋汚染問題に着目したわけではないです。しかし、汚染問題はウミガメの衝撃的なニュースなどを通して知っていました。また、もともと自然が好きで、川へ釣りに行ったときにゴミを見ると嫌だなと思いますし、エコな活動は大事だと常々思っていました。プラスチック製ストローが紙などの代替素材になってきていますが、あるとき取引先のお客様から「カフェで長時間打合せをしていたら、紙ストローがふにゃふにゃになってしまった。陶器でストローを作れないだろうか?」という問合せがありました。このことが開発のきっかけです。

 

山本: 開発するにあたって苦労した点は何でしょうか?また、着想から開発までどのくらいの期間を要したのか教えてください。

酒井: 陶器を作る方法としましては、ロクロ成型や圧力鋳込み、ガバ鋳込みなどがあります。しかし、長らく食器の卸売り業者として食器を扱ってきた弊社でも、ストローのような細長い円筒形のものは見たことも扱ったこともなく、従来の陶磁器の鋳込みの方法では作ることは無理だろうと思い、打診を受けた当初はストローの開発を断っていました。通常、食器をつくる場合は素焼きから本焼成までの段階で10%程度縮みますし、このことで歪みも出ます。ストローのような真っすぐな形のものを作るのは技術的にかなり難しいことが予想され、開発においてハードルだらけだと思ったからです。

ですが、取引先のお客様の期待に応えたいという思いや、今までにない商品を何とか開発したいという考えもあり、市内の陶磁器試験場や各メーカーに相談し、各社の技術を組み合わせれば作れるかもしれないと試作品作りを繰り返しました。成型、絵付、施釉、焼成の全ての工程において課題ばかりでした。様々な素材を試し、何度も何度も作って約半年のトライ&エラーの末、商品化し販売するまでに至りました。実用性やデザイン面にもこだわり、美濃焼の技術を凝縮した商品ができたと思っています。

 

 

山本: 商品名である「MYSTRO🄬」は、実際の英語のストロー(Straw)の綴りとは違いますね。その点も含めて商品名の由来について教えてください。

酒井: 岐阜県土岐市やその周辺である多治見市、瑞浪市あたりで作られている焼き物を美濃焼と言います。そして、美濃焼のストローとわかる商品名にしたかったことから、MINOYAKI the STRAWの「M」と「Y」を取り、「MY STRAW」にしようとも考えました。しかしこれでは普通の英語表記になってしまうので、何かないかと考えていたところ、当商品がオーケストラの際などに用いられる指揮棒も連想させる、イタリア語で指揮者の意味である「マエストロ(Maestro)」を商品名に組み込んではどうかと考えました。そして、「美濃焼(MINOYAKI)」と「マイストロー(MY STRAW)」、「マエストロ(Maestro)」を組み合わせた結果、「MYSTRO🄬になりました。

 

MYSTRO🄬を通して「繰り返し使う(Reuse)」という意識づけを

 

   山本: 商品を通して、世の中にどのようなメッセージを伝えたいですか?

酒井: MY箸は一時期のブームに過ぎませんでした。しかし、プラスチック資源循環促進法案が閣議決定され、ラスチック製のストローやスプーンを有料化の検討など再び脱プラスチックへの動きも見られます。「MYSTRO🄬」はプラスチックの削減に絶大な効果をもたらすことはないかもしれませんが、商品を通して「繰り返し何度も使う」という環境配慮への意識が根付いてくれればいいなと思います。また、弊社も今後商品を作るなら環境対応型にしようと、「MYSTRO🄬」の開発によって商品開発への意識も変わりました。

山本: 実際に使われているお客様からどのような声をいただいていますか?また、何かMYSTRO🄬の普及を促す活動などがあれば教えてください。

酒井: 生産地でもある土岐市で、2020年6月1日から2021年3月31日までの間、「土岐グルメ2020」というイベントが開催されていました。イベントを実施するにあたって、私が飲食店を自ら軒一軒訪問し、MYSTRO🄬とのコラボレーションに協力してくれるようお願いをしました。その結果、多くの飲食店の協力を得ることができ、その飲食店にMYSTRO🄬を持参すると、生ビール1杯サービスや店舗での飲食代金の割引など、いろいろなサービスを受けられるイベントが実施できました。

「土岐グルメ 2020」は一旦終了しましたが、現在は「MYSTRO🄬 GO!」というさらに大きなエコプロジェクト活動を行っています。参加店舗は土岐市に限らず名古屋市の店舗にまで広がっています。そしてこれらのイベントを通して、「MYSTRO🄬」の使用者は飲食店でサービスを受けられ、コロナ禍で売上が落ち込む飲食店では集客にもつながることから、ストローを持ち運ぶ動きを促しつつ、生活者にとっても飲食店にとってもWin-Winになる関係ができています。 このような取り組みを通じて、地方経済の活性化にも繋がればと考えています。

 

(サイトでは、「MYSTRO® GO!加盟店が紹介されています。)

 

【取材を終えて】

酒井様のお話を伺う中で、美しい商品の裏に開発から普及まで多くの苦労や多くの人の協力があったことがわかりました。それは、開発をする際に、未知なる商品開発に向けて、それまでの経験ではなかったストローという陶器への絵付けをする工程やストローのまっすぐとした形状を作る工程など各段階で様々なメーカーとの何か月にも及ぶ試行錯誤があったことや、普及の段階で、イベント参加の交渉を酒井様自らが飲食店へ出向いたことなど、私の想像を超えるものばかりでした。しかし、そのような苦労や協力を乗り越えて生まれた「MYSTRO🄬」はこれから、脱プラスチックの動きが加速していく中で、ますます需要が増していくのではないかと私は考えています。また、酒井様は、「MYSTRO🄬」はまだまだ開発途上であるとおっしゃっていたので、今後のMYSTRO🄬の展開にも期待していきたいです。


 

【プロフィール】

日本大学 法学部インターン生 山本修平

環境問題や障害者支援など日々の生活で何気なく聞く言葉を他人事のように感じられず自分に何かできることはないかと考え、APSPのインターンシップに参加。ライターとして、皆様に正確でわかりやすい文章を書くよう心掛け、私の書いた記事で世の中のに対する関心が少しでも高められることができればと思っています。

 

株式会社カネス:https://www.kanesuweb.co.jp/

MYSTRO🄬 GO!:https://mystrogo.mystro.jp/

MYSTRO🄬 GO!加盟店一覧:https://mystrogo.mystro.jp/category/shop/

 

 

この企業について

株式会社 カネス

岐阜県土岐市駄知町977-7

https://www.kanesuweb.co.jp/

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