ソーシャルプロダクツ・インタビュー<br>―TOTO株式会社―

2015/07/23

ソーシャルプロダクツ・インタビュー
―TOTO株式会社―

2015年8月28日、TOTO株式会社が2017年の創立100周年記念事業として、福岡県北九州市に「TOTOミュージアム」をオープンします。今回は日本の水まわり商品の先駆者が、節水性能の高い便器やシャワーなどの、環境に配慮した商品において、どのような取り組みを行っているのかご紹介します。お話を伺ったのはESG推進部環境商品推進グループグループリーダー木村博幸さん、企画主幹光田尚史さんのお二人です。

―環境に配慮した水回り商品開発を始められた時期や経緯を教えてください。

当社は、下水道が整備されていない1917年の創立時から水洗便器を製造し、当時の「衛生」という社会問題に貢献していました。当社商品は、お客さまが毎日ご利用するものですから、商品使用時の節水・省エネを積み重ねていくことで地球環境に大きく貢献できます。そうした背景もあり、2010年に「TOTO GREEN CHALLENGE」という環境ビジョンを、2014年には「TOTOグローバル環境ビジョン」を策定し、創立100周年を迎える2017年にむけて、アクションプランと数値目標を掲げ、「水を大切に」「温暖化を防ぐ」などの6つの社会課題への取組みを推進しています。また、節電の関心が高まった2011年の東日本大震災以降は、家庭内の水まわり商品の使用方法によってさらに節水ができ、それが社会全体の電力消費量削減に繋がるという「節水で節電。」という提案も実施しています。

 

―現在のトイレ製品の環境配慮について詳しく教えてください。

当社では主にトイレの便器洗浄水量の節水化という観点から、長年をかけて技術を進化させてきました。40年前は便器洗浄水の使用量は20L(リットル)でしたが、1976年に発売した商品では13Lにまで減らしました。1994年の10Lからは少しずつ減らすことに成功し、現在販売中の便器では洗浄性能を保ちながら4.8Lを実現しました。13Lの商品に比べると、4人家族の場合、約71%も節水し、水道代は年間約14,200円もお得になります。

さらに「ネオレスト」という商品シリーズにおいては、便器洗浄水量を床排水タイプで3.8Lにまで削減できる商品もあり、4人家族なら年間で1台当たり約5万2,000Lもの節水(240L浴槽235杯分)と、約1万5,000円の節約に繋がります。

便器洗浄水を流す大小ボタンの他に、「eco小ボタン」を付けているのも特徴です。こちらを男子小用時や掃除、ペーパーを流さない場合に利用すると通常の小洗浄よりも節水することができます。節水以外でエコに繋がる点でいいますと、一部地域での試行ではありますが、「ウォシュレット(※1)」はリサイクル樹脂として生まれ変わっています。それは事業所内の物流用パレットや、文具類などのノベルティグッズにリサイクル利用しています。

―環境への取り組みとしてCO2排出量削減にも力を注がれていますが、水まわり商品から発生するCO2はそんなに多いのでしょうか?

家庭でのCO2発生源といえば自動車や家電をイメージする方も多いでしょう。しかし、トイレやシャワーなどの使用時に発生するCO2排出量は意外に多く、家庭全体の約23%も占めています。その理由は、浄水場で水をくみ上げ、ポンプを動かして各家庭に水を運ぶなど、水を使用する度に電力も利用するからです。ですから、家庭で使う水を減らせば、社会インフラでの電力使用量も減り、CO2排出量削減に繋がると提案しているのです。さらには、「節湯」といいますが、お湯を節約することもCO2削減に大きく役立ちます。

 

―トイレの耐久年数は平均20年と、一度購入すればしばらく買い換える機会が少なく、最新の環境面での取り組みについて知らない方も多いと思われます。環境配慮を販売拡大につなげるという点ではどのような努力をされていますか?

お客さまに環境に配慮した商品を選択、購入していただくには分りやすいコミュニケーションが重要です。当社ではショールームでの直接のご提案のほか、WEBサイトや展示会などで、1カ月このくらい節水すれば、TVを毎日何時間つけていた消費電力に相当するなど、分かりやすく商品の説明をしています。8月にオープンする「TOTOミュージアム」では、1964年、ホテルニューオータニに納入した日本初のユニットバスルームを展示するなど、水まわりの歴史と文化の発展において、当社が果たしてきた役割をお伝えするとともに、商品での環境貢献をアピールする場として活用したいと考えています。

 

―今後の方針についてお聞かせください。

お客さまが努力しなくとも、ご利用いただくだけで節水や省エネに貢献できる商品やサービスを引き続き展開していきます。もちろん、お客さまのなかには「ウォシュレット」の洗い心地や掃除のしやすさなど、生活価値を重要視する方もいらっしゃいます。そのようなニーズに合わせた商品開発という点も妥協しません。シャワーの話になりますが、当社商品に節水と浴び心地を追求した「エアイン(※2)シャワー」がございます。浴び心地は人によって感じ方が異なるため、感性を数値に置き換える感性工学を活用し、快適な浴び心地を維持しながら、「一番使いやすいと感じる流量」という指標で約35%もの節水も実現しています。このように、これからも快適性と節水・省エネを満たす商品づくりを目指します。また、海外には水資源やCO2問題が深刻な国も多いので、節水商品や節水技術をグローバルに展開していける活動を進めたいです。

 

(※1)(※2)はTOTO株式会社の登録商標。

この企業について

TOTO株式会社

福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1

https://jp.toto.com/

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