ソーシャルプロダクツ・インタビュー<br>―株式会社アイツィンガー・ジャパン「zotterチョコレート」―

2020/08/19

ソーシャルプロダクツ・インタビュー
―株式会社アイツィンガー・ジャパン「zotterチョコレート」―

ゾッターハンドスクープ・カシューパイナップル

2月14日はバレンタインデー。毎年多くのチョコレートが売り場に並びます。最近は男性へ贈るためではなく、女性が自分用に買うチョコレートも多いのだとか。今回は、バレンタインデーにピッタリなオーストリアの「zotterチョコレート」をご紹介します。日本輸入総代理である、株式会社アイツィンガー・ジャパンの禅野靖司さんにお話を伺いました。

株式会社アイツィンガー・ジャパン 代表 禅野靖司

 

―zotterチョコレートの特徴を教えてください。

zotterチョコレートは、全てにおいてオーガニックとフェアトレード認証の原材料を使用しています。zotter社の一貫した理念である「BIO&FAIR」に基づき、チョコレート製造に必要な全ての原材料(食塩を除く)が有機認証をEUで取得しており、またカカオ豆はもちろんのこと、使用する粗糖・黒砂糖やコーヒーなどはフェアトレード認証を取得しています。

「Bean to Bar」を標榜するzotter社の本社工場は、エコロジー先進国として知られるオーストリアの、自然豊かな農業州シュタイアーマルクに位置し、人気の工場ツアーでは、カカオ豆の焙煎からパッケージングまで全ての工程を見ることができます。

 

―「BIO&FAIR」の理念について、より詳しくお伺いできますか?

創業者のヨーゼフ・ゾッターは、BIO(オーガニック)とフェアトレードは決して切り離せないこととして考えています。なぜなら、カカオなどの農産物を栽培するとき、農地の土壌を汚染してしまうような農法を用いれば、その土地に住む人々にとってFAIRではありません。労働対価がいくらFAIRであっても、その土地で長く守られてきた自然や生活環境に対してFAIRでなければ、それはフェアトレードとは呼べません。有機農法の原材料のみを使うことで、チョコレートを食す生活者の安全や健康に応えながら、同時に生産者の住む土地の安全も保障する。これこそが真のフェアトレードなのです。「BIO&FAIR」は、持続可能な社会を維持するために欠かすことのできない重要な理念です。

 

―日本への輸入を始めた経緯を教えてください。

私がzotterを知ったのは、2005年頃にオーストリア人の友人から教えられたことがきっかけでした。その頃、日本国内では既にヨーロッパ圏、特にイタリア、フランス、ベルギーなどのチョコレートが市場に溢れており、その種類の豊富さは、他国のマーケットとは比較にならないほどでした。こうした状況下で、新たにチョコレートの輸入を始めるのであれば、日本国内に広める価値のあるもの・群を抜いて美味しいもの、さらには社会性の高い商品でなければ取り組む意味がない、と思いました。その上で、マーケット環境を自分なりに分析してみて、zotterのチョコレートは、その条件を十分に満たしていると思ったのです。「BIO&FAIR」に基づいた原材料のクオリティ、嗜好品であるチョコレートとしてのレベルの高さ、そして洗練されたパッケージデザイン―すぐに本国オーストリアへ向かい、創業者のゾッター氏と直接交渉した末、zotterチョコレートの日本への輸入を2006年に開始しました。

 

―日本国内では、どの商品が人気ですか?

単一種のカカオ豆で作られた、所謂シングル・ビーンのチョコレートが人気です。zotterチョコレートのラインアップの中には、世界で生産されるカカオ豆のなかでも、極めて希少で高品質なクリオロ種やトリニタリオ種を原料にしたチョコレートが多くあります。カカオを生産する土地や農園の個性がはっきりしており、カカオの含有率が高いチョコレートでは、その個性がひときわ感じられます。あまり知られていませんが、ワインやコーヒー豆のように、カカオにも産地や農園によって風味に違いがあり、ここ10年くらいの間に、カカオ豆の質でチョコレートを選ぶ人も増えてきました。今後も、こうした傾向は強まっていくのではないかと思っています。

ラブーコ・ペルーマリンガス72%(左)とペルークリオロ82%(右)

 

―zotter 社と取引することで、カカオ豆生産者たちの生活はどのように変化しているのでしょうか?

zotter チョコレートの原料となるカカオ豆は、現在、ペルー・ニカラグア・ドミニカ共和国・ブラジル・インド・コンゴ・タンザニアなどの生産者から買い付けたものを使用しています。ゾッター氏は各地のカカオ豆生産者を毎年訪れ、彼らの作るカカオが市場でより高い価値を持つようになり、それに伴って生産者の生活がより良くなることを目指して、現地で技術指導なども行っています。例えば、ニカラグアのある農園では、高品質のカカオ豆を栽培してはいても、生産量が少ないために市場で価格がつかないという状況でした。そこでzotter社は現地NGOなどとも協力して、カカオの生産性向上に尽力し、オーガニック認証・フェアトレード認証を取得。それが生産者の安定した収入へとつながりました。

また、zotter社は、カカオ豆の生産者を自社工場に招待し、カカオ豆がチョコレートになる工程を実際に見てもらう機会を設けています。「Bean to Bar」のエキサイティングな過程を、生産者と共有したいと思っているのです。

ゾッターさんとカカオ生産者

 

―商品の社会性を生活者にどのような方法で発信していますか?

商品のパッケージにフェアトレードであることを示すマークとEUのオーガニック認証マークが表示されています。zotter社は、ニューズレターのような媒体やホームページ上でも自社の社会的な活動について情報発信しており、日本では弊社のホームページ上(www.zotter.jp)に情報を掲載しています。

実は、zotter社も弊社も、「フェアトレードだから、オーガニックだから良いものです」というメッセージだけで選んでいただけるとは思っていません。それでは一度は買っていただけても、継続的な購入にはつながりません。zotterのチョコレートを「美味しい!」と気に入っていただき、「また食べたい」と思っていただく。そのためにも、チョコレートの味、香りだけでなく、美しいデザインを含め、人の五感に訴え、印象に残る商品でなくてはならないと思います。楽しく、美味しくチョコレートを食しながら、パッケージを見てフェアトレードやオーガニックについてお客様が知って、考えて下されば、そして次もお選びいただければ、それが理想的なカタチではないかと思います。

バレロス・カカオニブラズベリー

 

―世界各地で販売されているzotterチョコレートですが、日本と諸外国とで、マーケットにどのような違いがあるのでしょうか?

ドイツ、オーストリア、スイスではzotterの知名度はかなり高く、一般的なスーパーマーケットや食料品店でも手に入ります。これらの国々ではフェアトレードやオーガニックの意識が広く浸透していて、日常的に買い物をする際に、常に選択肢としてそういった商品が存在しているため、zotterチョコレートのシェアも日本よりはるかに高いのです。

弊社が輸入を始めた2006年頃は、オーガニック専門店やグルメ輸入食品店等、高価格帯の商品をそろえるごく一部のお店でのみ扱っていただいていました。その後、多店舗展開をしているオーガニック食品店や卸も手掛けているような取引先が増え、現在ではライフスタイル全体を提案するような雑貨店やインテリアショップ、コスメ専門店、ワインショップなどでも販売していただいています。また、ソーシャルな商品を取り扱うインターネット通販サイトでも販売しています。ここ数年で、日本におけるフェアトレードの認知度はかなり高まってきたと思います。百貨店のイベント等で実際にお客様とお話する機会がありますが、以前は「フェアトレード」と言っても知っている方は少数でした。現在はほとんどの方がご存知のようです。これから、こうした社会性の高い商品のマーケットはもっと拡大すると思います。

 

―生活者のみなさまにメッセージをお願いします。

zotterチョコレートは、「BIO&FAIR」の理念を踏襲しながら、あくまでもクオリティの高さにこだわり、カカオの持つ力をしっかりと感じることができる商品です。一度味わっていただければ、その違いに必ずや驚かれると思います。ワインやコーヒーなどと合わせて味わうのもオススメ。是非、お気に入りのフレーバーを見つけていただき、特別な時だけではなく、飾らない普段の生活の中に採り入れて、楽しんでいただけたらと思います。

(当記事は2014年1月に発行された当協会ニュースレターにて紹介したものを、2020年8月現在の情報に改めた記事となっております。)

この企業について

株式会社アイツィンガー・ジャパン

東京都杉並区西荻南4-17-17

http://zotter.jp/

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